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イギリスでペット泥棒が急増…犯人の手口は「ニセ動物査察官」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.02.25 11:00 最終更新日:2022.12.07 16:47

イギリスでペット泥棒が急増…犯人の手口は「ニセ動物査察官」

保護された犬

 

 ロックダウンが続くイギリスで、「犬泥棒」「猫泥棒」の被害が急増している。新型コロナウイルスによる家ごもりでペット需要が増え、犬や猫の取引価格が高騰しているからだ。

 

 ペット情報サイト「Pets4Homes」は、2020年3月から9月にかけて子犬の価格が倍以上になったと明かす。また、迷子ペット捜索サイト「Dogs LOST」によると、犬の盗難は前年比1.7倍になって0いるという。

 

 

 1824年に設立され、世界最古の歴史をもつ動物福祉団体「RSPCA」(イギリス動物虐待防止協会)は「犯人は “インスペクター” のフリをして近づいてくる」という。

 

 動物査察官(インスペクター)は、虐待や不遇な状況に陥った動物の保護をはじめ、動物関連の事件での捜査協力、ペットショップなど関連施設の調査など、幅広い活動に取り組む動物福祉のスペシャリストだ。

 

 実際にこんなことがあった。2021年2月12日、アンドリュー・ハバルさんが愛犬とともに散歩していると、動物慈善団体を名乗る男に声をかけられた。

 

「最近、ペット泥棒が増えていてね。君が本物の飼い主かどうか確認したいんだ」

 

 そう言うと男は、犬を車のなかに入れるよう促した。白いバンには「RSPCA」のロゴがあったが、ハバルさんはエンジンをかけたままじっと運転席に座っている男に違和感を覚えた。

 

 不審に感じたハバルさんが身分証の提示を求めたところ、男は車に飛び乗ってそのまま逃亡、愛犬は事なきを得た。

 

「小さな子供や老人が声をかけられたら、言われるがままに盗まれちゃうんじゃないかな」と、ハバルさんはメディアの取材に答えている。

 

 RSPCAは、「本物の動物査察官は白シャツに黒または青のネクタイ、青いジャケットに協会ロゴと黒の肩章をつけています」と説明したうえで、「もし査察官が家にやって来たら、身分証と本物の制服かどうかを確かめてください」と注意を促している。

 

 イギリスで馴染み深い動物査察官とはいったいどんな立場なのか。日本動物福祉協会の町屋奈さんに話を聞いた。

 

「RSPCAは200年ほど前からイギリス国内の動物虐待等を監視しています。歴史が古いため、動物査察官の認知度は高く、国民から深い信頼を得ています。ただ、現場の立ち入り権限はないので、警察と連携をとって動物保護に取り組んでいます」

 

 日本でも1800万匹を超える犬や猫がペットとして飼育されており、イギリスほどではないがペット盗難の被害は続いている。そう考えると、万が一のとき、動物査察官のような存在がいれば捜索や虐待防止の助けになりそうだ。

 

保護された猫

 

 日本で動物査察官は導入できないのだろうか。

 

「民間で動物査察官を導入すると、公平性・中立性の担保をどうするのかという問題が出てきます。いまのところは、動物愛護管理担当の行政職員の方に動物福祉について理解を深めていただき、しっかりと活躍してもらうのが現実的だと思いますね」(町屋さん)

 

 民間と行政がタッグを組み、ペットや動物たちのセーフティーネットが充実すれば、飼い主たちにも安心が広がるはずだ。

 

写真・日本動物福祉協会

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