NASAの探査機「パーサヴィアランス」が火星に到着して5日たった。2月22日に公開された映像には、探査機がパラシュートで減速しながら着陸する様子が映し出されている。動画には、初めて収録されたという「火星の風の音」も収録されている。
会見では、担当エンジニアがパラシュートの解説中に「私たちはときどき解読してもらいたいメッセージを残す」と語った。どうやら、パラシュートに「暗号」が隠されているらしい。
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それから6時間ほどたった日本時間2月23日、「“dare mighty things” ! Well done!」というツイートが流れた。パリ在住の学生が、父親と一緒に調べたところ、パラシュートの模様に隠されたメッセージを解読できたというのだ。
男性は、パラシュートを4つの同心円に分け、描かれた赤と白の模様をそれぞれ「1」と「0」に振り分けた。現れた2進法の数字を10進数に変換し、それをアルファベットに当てはめたらしい。すると、「DARE MIGHTY THINGS(=偉大なる挑戦を)」というメッセージが浮かび上がった。
これは火星ミッションを担当しているNASAジェット推進研究所のモットーで、セオドア・ルーズベルト大統領が1899年におこなったスピーチが元だという。火星着陸を伝える2月20日の公式ツイッターでも使われている。
このツイートはあっという間に拡散され、すぐさまコメント欄に「君、天才だよ!」「なんてクールなんだ」といった声があふれた。
巨額の宇宙予算を確保しなければならないNASAは、これまでも話題を呼ぶようなサプライズをたびたび仕掛けてきた。
たとえば、スペースシャトルや国際宇宙ステーションのクルーが決まるたび、搭乗員たちのポスターを作成するのだが、その際、『マトリックス』や『スタートレック』『トランスフォーマー』などの映画をパロディ風に使うことが多い。
2015年、ソユーズが打ち上げられたときは、宇宙飛行士・油井亀美也さんが『スター・ウォーズ』のジェダイの騎士に扮している。
2018年、NASAはフェルミ宇宙望遠鏡で3000以上の星を発見し、新たに22の星座を認定したが、それらに「ゴジラ」「富士山」「超人ハルク」「星の王子さま」などと命名したこともある。
さらに、2018年に打ち上げられた火星探査機は「マルコ」という愛称だったが、地上からの最初の通信に対し、「Hello」ではなく「Polo」と返すプログラムが仕掛けられており、通読すると「マルコ・ポーロ」になったこともある。
NASAは、これからもあらゆるサプライズを用意して、宇宙と人類の距離を縮めてくれることだろう。