ヘンリー王子とメーガン妃の独占インタビューが世界中の話題をさらっている。米CBSテレビが放映したもので、英米両国あわせて3000万人近い人が視聴し、3日が経ったいまもオンライン視聴者が増えている。
屋外で収録された2時間の番組では、これまで知られていなかった衝撃的な内容が本人たちから語られた。
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息子アーチー君の肌の色を懸念したメンバーが王室内にいたこと、メーガン妃がメンタルヘルスの治療を求めたがスルーされ、自殺も考えたこと、王室からヘンリー王子への資金的援助がなくなり、ダイアナ妃の遺産で過ごしていること……。
放送中からSNSでは話題が沸騰し、記事もよく読まれ、ランキングに並んだ。
BLM運動など人種差別に話題が集まっているアメリカでは、王室にはびこる人種問題やメーガン妃の自殺願望に注目が集まり、多くの支持が寄せられた。
ヒラリー・クリントン、マイケル・ムーア監督など、さまざまな人から共感の声が上がり、ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は「メンタルヘルスについて告白するのは勇気のいる行動だ」とコメント。
一方、イギリスはアメリカとは大きく違い、反応が大きく別れた。 「エリザベス女王が高齢で、フィリップ殿下が入院中の時期に不謹慎だ」との意見も多かったが、SNSでは「王室廃止」という言葉がトレンド入りし、 かねてメーガン妃に辛口報道してきたタブロイド紙が大反発。
ウェブサイトに批判的な記事を30ほど載せた新聞もあるし、国外追放(Exile)とメーガンを掛け合わせた「Mexile」という造語を大きく報じるものも。記事のコメント欄には「彼らから称号を取り上げ、金銭は与えるな」という意見さえ踊っている。そして、ジョンソン首相までがコメントを求められる事態となった(首相は明言を避けている)。
ここ最近、反メーガン報道の常套手段といえば、彼女と折り合いの悪い父親を登場させることである。タブロイド紙はこぞって父親のコメントを報じた。
メーガン妃の父親トーマス氏は、受賞歴もあるテレビ局のディレクターだった。ヘアメイクをしていたメーガン妃の母親と再婚したが、妃が8歳のときに離婚した(前妻との間にも2子がいる)。
トーマス氏は宝くじ好きでも知られており、1990年にはカリフォルニアでメーガン妃の誕生日を入れた5桁の数字が当たり、75万ドル(約8000万円)の大金を手にしている。
子供たちそれぞれにプレゼントを与え、メーガン妃には私立校の高い学費を支払ったが、友人に出資を乞われた宝飾ビジネスで多くを失ってしまった。2016年に自己破産し、現在はメキシコに住んでいる。
ハリー王子とメーガン妃の結婚式直前にパパラッチされ、一躍話題となったが、のちに、メディアから報酬をもらって仕組んだことだと告白している。
この頃から親子関係はさらに悪化、2人の結婚式も心臓手術を理由に欠席した。夫妻からメディアに話をしないよう言われているにもかかわらず、たびたびタブロイド紙に登場しては、親としての愛情やメーガン妃への批判を繰り返した。
先月、メーガン妃はタブロイド紙を相手どった裁判に勝訴したが、これも父親がメーガン妃の直筆手紙をメディアに暴露したことが原因だった。
インタビュー番組の放映翌日、トーマス氏はメーガン攻撃で有名な辛口ジャーナリスト、ピアーズ・モーガンの番組に登場し、「王室に人種差別があるとは思わない。ヘンリーが娘を守ってくれなかった」などと主張した。トーマス氏は娘が口をきいてくれるまでメディアでしゃべり続けると公言している。
こうした騒ぎのなか、ついにバッキンガム宮殿はエリザベス女王の声明を発表する。
「ヘンリーとメーガンの置かれた困難な状況、特に人種に関する問題は懸念であり、ファミリーは悲しんでいる。ヘンリー、メーガン、アーチーはいつでもファミリーの一員だ」という内容だったが、これでふたたびSNSは大盛り上がり。イギリス王室の影響力には驚かされる。
メーガン妃は第2子を妊娠中で、夏には女の子を出産予定という。その頃には再び世界中を巻き込んだ騒ぎとなることだろう。(取材・文/白戸京子)
写真提供:Tim Stewart/Splash/アフロ