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東京五輪開催を支持する? 大企業2000社への調査に「お金はいいから逃げ出したい」の“本音”爆発

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.03.14 06:00 最終更新日:2021.03.14 06:00

●森喜朗主導の「おつき合い契約」でスポンサーが追った“負の足枷”

 

 スポンサーの最上位である「ワールドワイドオリンピックパートナー」に名を連ねる2社の担当者は、ともに「断腸の思いですが、開催を全面的不支持」と回答した。

 

「最近、『多額のスポンサー料を支払う意味は、どこにあるのか?』と、労働組合から経営陣に対して質問されました。コロナ禍で経営が悪化していることもあり、今後は株主からも突き上げを食らうのではないかと、内心冷や冷やしています」(B社)

 

「当社の立場からすれば、最後まで五輪を支えていくというのは当然のことなのですが、『安心・安全』が保証されない限り、難しいと言わざるを得ません」(C社)

 

 次に、「条件的不支持」を表明した企業の担当者の声を列挙しよう。まずは、大会スポンサーに名を連ねる、新聞社の担当者。

 

「会社の立場上は『条件的支持』か、せめて『どちらともいえない』と回答すべきなのでしょう。ただし、現実的には無理だと思います。

 

 弊社でも、意見広告や社説をいつ出すかを具体的に検討しています。ワクチンが行き渡っても、厳しいものは厳しい。知人の外国人ジャーナリストは、『日本はクレイジーだ』とまで言っています。今の東京での開催は危険です。とくにハンデのあるパラアスリートには酷です」

 

 飲料メーカーの担当者は、首都圏の緊急事態宣言の延長で、「五輪特需は厳しいものになった」と嘆く。

 

「私どもの主力商品はアルコール飲料なので、一般の方々が東京五輪を観戦しながら楽しんでいただくという観点から、開催にも賛同していました。

 

 ところが昨今のコロナ禍で、飲食店の時短営業の影響や、アルコールに対する世間の風当たりもあり、今後は広告などの出稿も慎重に考えております」

 

 少数ながら、開催を支持する声もある。「条件的支持」とした食品メーカーの担当者は、こう回答した。

 

「森氏の発言は、東京五輪のビジョンである『多様性と調和』をともに目指すパートナーとして大変遺憾です。ただし、新体制のもと、大会パートナーとしてともに取り組んでまいりたいと思います」

 

 同じく「条件的支持」とした家電メーカーの担当者は、「無観客ならば、開催可能だと考えています。さらに、日程や規模の縮小も合わせて検討すべきです」と言う。

 

 今回のアンケートは、あくまでも公式なものではないが、それでも組織委員会やJOC、東京都、とくに森前会長の後任になったばかりの橋本会長にとっては、喉元に刃を突きつけられるような結果になったに違いない。調査をおこなった大手広告代理店の五輪担当者は、今回のアンケート結果をこう分析する。

 

「じつは、前回のリオ五輪から、大手スポンサーの多くが撤退する傾向がありました。それに危機感を覚えたJOCや組織委員会は、森前会長がトップ交渉をおこなって、国内のリーディングカンパニーの多くを、スポンサーとして獲得したのです。

 

 しかし、これが見事なまでに日本流の、いわゆる “おつき合い” といわれるものだったんです。交渉の際は、『○○社もおつき合いくださっていますから』と、他社の契約状況を引き合いに出して促したものでした。

 

 もちろん企業側も、五輪特需を見越しての打算的な意味合いもあったと思いますが、コロナの蔓延で、その情勢が一変してしまいました。各企業担当者の “悲痛な叫び” にも似たコメントが示すとおり、今では五輪スポンサーであることが、企業の経営に大きな足枷となってしまっています」

 

 追い討ちをかけるように、WHOが3月1日、「年内にコロナの収束を考えるのは、あまりにも非現実的な期待だと思う」という見解を発表した。一方で日本政府は、組織委員会や東京都が無観客での開催を決断した場合、容認する方針を固めた。

 

 開催自体は譲らない構えであり、菅義偉首相は世界経済フォーラムのオンライン会合で、東京五輪を「新型コロナに打ち勝った証し」とする考えを、あらためて強調。五輪を中止することは、新型コロナ対策の「失敗」を認めることにもなるため、どうしても避けたいようだ。

 

 各企業の担当者は、胃の痛い日々が続く。


写真・AFP=時事通信

 

(週刊FLASH 2021年3月23日号)

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