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いまテレビ局の新基準は「個人視聴率」! もはや「世帯視聴率」は時代遅れに…
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.03.14 20:00 最終更新日:2021.03.14 20:00
最近、「個人視聴率」という言葉を目にする方も多いのではないか。2020年3月30日からビデオリサーチ社は、全国で個人視聴率の提供を始めた。これにともない、テレビ局も個人視聴率を中心に公表するようになったのだ。テレビ局関係者が話す。
「テレビ局は、従来の世帯視聴率から個人全体視聴率へ評価の基準を移しています。ビデオリサーチ社の機械式による個人視聴率の調査は、1997年から関東地区で始まっていましたが、各局はずっと世帯視聴率を指標としてきました。
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とくに最近10年ほどは、在宅率の高いM3(50歳以上の男性)、F3(50歳以上の女性)をターゲットにして、世帯視聴率の維持を図る傾向もありました。
しかし、高齢者はスポンサーの商品購入には至りづらい。商品の購入意欲を示すのは、やはりF1(20~34歳の女性)層でした。つまり、視聴率と消費行動には乖離があったのです」
そもそも、「世帯視聴率」と「個人全体視聴率」は、どう違うのか。「世帯」は、何世帯でテレビをつけていたかを示し、20世帯のうち3世帯なら視聴率は15%ということになる。
一方、「個人」は何人がテレビをつけていたかを表わし、20世帯にいる45人のうち4人が視聴すれば8.9%となる。今までの視聴率は世帯を基準にしたアバウトな調査だったため数字も高く出ていたが、細かくカウントされるようになったことで低い数字が出るようになった。
「数字は目減りしますが、視聴人数の換算が正確にできるようになりました。性別や年齢層もわかるので、スポンサーは番組の視聴者層を知ったうえで広告を打てます。
テレビ局も営業する際に、曖昧な世帯視聴率と比べ、個人視聴率のほうが説得力が出ます。2年前、ネット広告に広告費で追い抜かれたことでようやく重い腰を上げて、世帯から個人へ移行したのだと思います」(前出・テレビ局関係者)
世帯視聴率であれば、かつては20%でヒット番組と呼ばれ、近年でも15%を超えれば万々歳だった。個人全体視聴率にそうした指標はあるのか。
「スポンサーのニーズに合った層での高視聴率を求められるので、『何%だから合格』とは言いづらいです。
いつも視聴率が高い日曜の日本テレビの番組を例にすると、3月7日の『笑点』は個人8.3%、世帯14.6%、『真相報道バンキシャ!』は個人8.1%、世帯14.1%、『ザ!鉄腕!DASH!!』は個人7.8%、世帯11.8%、『世界の果てまでイッテQ!』は個人9.5%、世帯13.0%、『行列のできる法律相談所』は個人7.8%、世帯11.8%となっています。
個人で8%以上あれば、かなり高いと判断できると思います。2020年の連続ドラマ『半沢直樹』(TBS系)の最終回は個人21.5%、世帯32.7%(いずれも、ビデオリサーチ調べ/関東地区)と驚異的でした」(同前)
時の経過とともに、判断基準は変わる。もはや「世帯視聴率」は時代遅れのようだ。