社会・政治
日本の「リバーサイドトレイン」美しすぎる(2)
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2016.11.27 20:00 最終更新日:2016.11.27 20:00
明治から昭和初期にかけては、山間部に鉄道を建設するときに、トンネルではなく、川の流れに沿ってくねくねと線路が敷かれた。そのおかげで、歴史の古いローカル線の列車の車窓からは、変化に富んだ川の絶景が楽しめるのだ。
紀行作家・田中正恭が厳選した美しすぎる「リバーサイドトレイン」に乗ってみよう!
●JR三江線/式敷駅~香淀駅(広島県)
島根県の江津と広島県の三次を結ぶ三江線は全長108kmの長大路線。全線にわたって江の川の絶景に沿って走る。
県境付近の山の中は霧が多く、特に朝は幻想的な雰囲気に包まれることが多い。
沿線人口が少なく、1kmあたりの輸送密度が日本一少ない超閑散路線なので、JR西日本は正式に廃止を表明した。乗るなら今のうち!
●JR予土線/打井川駅~土佐大正駅(高知県)
予土線は、家地川から江川崎にかけて最後の清流と呼ばれる四万十川に沿って走る。
車窓から沈下橋と呼ばれるこの地方独特の橋を見ることもある。予土線には0系新幹線の顔をした「鉄道ホビートレイン」が走っている。
これは四国出身の新幹線の生みの親、十河信二元国鉄総裁にちなんだもので、ユニークなその顔に思わず笑ってしまう。
●JR名松線/伊勢鎌倉駅~伊勢八知駅(三重県)
2009年秋の台風による土砂災害で、名松線の家城~伊勢奥津間が長期にわたって不通になった。
利用者の少ないこの区間は廃線の危機に陥ったが、沿線住民や自治体の熱意により、この春6年半ぶりに甦った。
不通になっていた区間は、雲出川に沿って、杉林の美しい山の中をのんびりと走る。まさに奇跡の復活を遂げた鉄路だ。
●JR根室本線/厚岸駅~糸魚沢駅(北海道)
地の果てに向かうのではないかと思う広大な湿原の中を、たった一両の列車がコトコトと走る。
チライカリベツ川はやがて厚岸湖に注ぐ。ここ別寒辺牛湿原はヨシやスゲが群生する湿地帯。丹頂鶴が営巣し、冬に向けて白鳥やオオワシもやってくる自然の宝庫だ。
だが利用者はきわめて少なく、路線の存続が危ぶまれている。根室本線は先の台風により、新得駅付近で大きな被害を受けて運休中だが、ここで紹介する釧路~根室間は平常運転されている。
写真&文・田中正恭
(増刊FLASHダイアモンド 2016年10月27日号)