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HISが目指す「宇宙旅行」1400万円もするのに「乾杯」できない

社会・政治 投稿日:2016.12.03 12:00FLASH編集部

HISが目指す「宇宙旅行」1400万円もするのに「乾杯」できない

『写真:AFLO』

 

 12月1日、航空会社ANAホールディングスと旅行代理店のエイチ・アイ・エス(HIS)が宇宙旅行事業に乗り出すことが発表された。宇宙機開発ベンチャーのPDエアロスペースに出資したのだ。

 

 2007年に設立されたPDエアロスペースは、繰り返し使用できる旅客機のような「宇宙機」を開発しており、2023年12月の宇宙旅行の事業化を目指す。

 

 気になる内容だが、宇宙機が滑走路を離陸後、ロケットエンジンで一気に高度100kmまで上昇し、そこから自由落下により無重力状態を5分ほど体験できる。

 

 全90分間で料金は約1400万円と、かなりのお値段。とはいえ、NASAに行くことなく、日本の空港から手軽に出発できる宇宙旅行は魅力的。わずか5分とはいえ「地球を眺めながらシャンパンで乾杯」にはロマンがある。一度はやってみたい!

 

 だが、現実には宇宙空間でアルコールを飲むのは難しいようだ。重力がないため地上にいるときより脱水症状を起こしやすく、アルコールの回りも早いと考えられているからだ。

 

 もちろん、スペースシャトルや国際宇宙ステーションなどで「勤務している」宇宙飛行士たちが、「職場で飲酒」することは認められていない。酔っぱらって重要な機材を壊してしまっては、宇宙空間ではすぐさま生命の危機に陥るからだ。

 

 そればかりか、宇宙では炭酸飲料すら飲めないという。地上では炭酸の泡が浮力で上昇し、液体の表面まで上ってくる。そして空気に混じって泡と消える。

 

 

 ところが無重力の宇宙では、泡が液面に上がってくることなく、液体中にとどまる。そして泡同士がくっついて大きくなり、栓を開けた瞬間、泡の周りの液体が弾き飛ばされ、激しく噴き出してしまう。

 

 周囲の機械に水分が飛び散ると、これまた故障の原因となるため、現在、宇宙空間へ炭酸飲料の持ち込みは禁止されている。どう考えても「地球を眺めながらシャンパンで乾杯」は困難なようである。

 

 ちなみに、そのほかの嗜好品についても、いろいろと制限がある。火を使うことは実験以外認められないので、たばこは厳禁。

 

 コーヒーも微妙らしい。宇宙ステーションに長期滞在した宇宙飛行士の油井亀美也氏は、自身のTwitterで「美味しくないんです。気づきました!私はコーヒーの香りが好きだったことに。パック+ストローでは。。。」と記している。

 

 宇宙食は多種多様だが、JAXAの定める「宇宙日本食」には厳しい基準がある。現在は「保存期間が常温で1.5年以上」「水分やカスが飛び散らないこと」などを満たす33品目が認められているだけだ。

 

 宇宙では空気が循環せず、匂いさえ固まりとなってしまうため、匂いのきついものを持っていくこともできない。納豆は匂いと糸を引くことがネックとなり、宇宙食として認められていない。

 

 まだまだ制限の多い宇宙旅行だが、やっぱり一度でいいから行ってみたいものだ。

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