経緯書には、調査書作成とその改ざんまでの経緯が、すべて日付入りで記されている。このなかに「改ざんは校長らの指示だった」ことを裏付ける記述がある。
《2月19日になって、正しい調査書ができていないから調査書を作り直すように指示がきました。具体的には、根拠書類が提出されていないものは、調査書からも要録からも削除する様に、との指示です》(原文ママ、以下同)
生徒に無断で資格類を削除することについて、当時の都立小石川の教員たちが感じた葛藤が垣間見える記述もある。
《3つのクラスは根拠書類フォルダが空または数人程度のため、調査書からも要録からも英検とIELTS以外のほとんど全ての資格や表彰を削除することになります。これは果たして正しい調査書なのでしょうか?生徒の努力の結果を軽視しすぎだと思います。このように生徒に不利益になることを、生徒の保護者に連絡することもなく密かに削除して本当に正しいのでしょうか?監査対策が優先で、生徒は二の次でよいのか、それを心配しています》
学校からの指示に悩んでいた担任教員に対する当時の校長・梅原氏の対応について、ある都立小石川の関係者が話す。
「当時の作成に関係した教員たちは、『校長が自分たちに責任を負わせたんだ』と嘆いていました。
そもそも調査書の発行には校長の公印が必要です。それが白紙で提出されていたことが問題なら、梅原前校長がその問題に気づかなかったことも大問題です。だけど、梅原前校長は日比谷高校の校長に “出世” していますからね……」
本誌は、あらためて東京都教育庁に事実確認を求めた。4月14日に日比谷高校で校内放送があったことについては、こう回答を寄せた。
「『このような事実無根の記事が掲載され、さらには日比谷高校の学校名が出てしまったことは、極めて遺憾です』などと話しています」
事実であることを認めたのだ。一方、保護者による都教委への問い合わせに「事実の捏造です」と答えたことについては「(そのような)発言はしておりません」と否定した。
今回、本誌が新たに入手した経緯書の内容については、「都教委として把握した事実については、前回のご質問で回答したとおりです」の回答だった。
先ほどの経緯書には、こうも記されている。
「人的ミス誘発要因は多忙と疲労です」
「担任の過度な負担を軽減することが、ミスの軽減につながると思います」
現場に無理を強いたあげく、その責任も負えない人間に「校長」を名乗る資格はない。