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かんぽ生命は「絵に描いたようなブラック職場」…上は「海外研修」下は「懲罰研修」の闇

社会・政治 投稿日:2021.05.06 11:00FLASH編集部

かんぽ生命は「絵に描いたようなブラック職場」…上は「海外研修」下は「懲罰研修」の闇

 

 かんぽ生命の保有契約件数は1997年3月末に8432万件とピークをつけ、2013年3月末には3681万件まで落ち込んでいる。

 

 利回りが下がり、独自の商品特性が乏しいかんぽにとって、規模の縮小は当然の帰結だった。だが、2007年に株式会社となり、2015年には東証一部に上場を果たしたことで、利益を追求するという目標の優先度が上がってくる。

 

 

 日本郵便が国会で示したデータによると、かんぽ生命の販売目標は民営化翌年の2008年度から2016年度にかけて1.6倍近くに増えた。

 

 郵便局で保険を売っていたのは、2019年3月時点で約7万3000人。多くは通称「サンマル」と呼ばれる人たちだ。民営化時の社員番号をもとに、郵便・物流の「ニーマル」とは区別して扱われていた。

 

 このうち局の窓口で保険を売る社員が5万8000人を占め、郵便局の外に出て保険を売る金融渉外社員が1万4500人いた。金融渉外社員のうち約6000人は、保険を専門的に担当していた。

 

 保険が専門の渉外社員に課せられる個人の年間営業目標は、月額保険料ベースで200万~300万円台が多かったようだ。月額保険料が1万円の生命保険なら1年に200~300本、月に20本前後の獲得がノルマとなる。尋常な数字ではない。

 

 日本郵便は、全国の渉外社員を成績順に並べた表を毎日更新し、社内で公開して競わせていた。

 

 さらに毎年、全国で「かんぽ営業最高優績者」を選び、とくに実績の高い渉外社員には「ダイヤモンド優績者」(30人)、「ゴールド優績者」(200人)といった称号を与えていた。優秀な窓口社員にも「ルビー優績者」(30人)、「パール優績者」(200人)の称号があった。

 

 称号をもらえると、ご褒美として全国各地の一流ホテルで開かれる「かんぽ営業代表者会議」に招かれて表彰される。CMに出る芸能人が呼ばれ、トップセールスマンに記念品を手渡すことも。ダイヤモンドやルビーの認定を重ねると、オーストラリアやハワイへの「海外研修」まで用意されていた。

 

 一方で、販売実績の悪い局員には、“指導” という名の「懲罰研修」が待っていた。成績の悪い局員を集め、勧誘の方法などを教えるという建前だが、パワハラめいた「恫喝指導」で知られていた。特別調査委員会の「調査報告書」では、こんな証言も紹介されている。

 

「金融渉外部長は夜の8時や9時まで低実績者を居残りさせたり、朝礼などの全員の前で、『成績が悪いということは局の目標達成の足を引っ張っているからみんなに謝れ』などと言っていた。怒鳴られることが原因で精神的に追い詰められ、病気で休む人も出ていた」

 

■オレオレ詐欺と変わらないアポ電

 

 マジメな郵便局員を不正へと駆り立てる仕掛けの一つが、郵便局を覆う異常な空気だ。ある郵便局の保険課での問題発覚前の1日をざっと振り返ってみよう。

 

 朝礼は朝8時半に始まる。かんぽ生命営業指導育成部が作成したチェックシート「モーニング5(ファイブ)」を使い、3~4人の班ごとに互いの営業予定を点検し合う「ツメ」の儀式だ。

 

「5」は確認項目の数を指す。「(1)本日の見込額」や「(2)本日の行動予定」として、アポ入れの状況や「勝負先」の有無を確認する。「(3)事前準備の状況」や「(4)商談イメージ」として、どんな資料と話法で契約を迫るのか、想定される断られ方とその対応も確認する。最後は「(5)魂の注入(班員の意識統一)」として「目標をやりきるぞ!」と声を張り上げ、全員で「おー!」と拳を突き上げる。

 

 30分ほどの朝礼が終わると、アポが取れている郵便局員は外へ駆けだしていく。

 

 班ごとに課せられるノルマは、未達の分が積み上がっていくため、多い日で数十万円にも上る。2~3人のメンバーで月額保険料数十万円分の新規契約が取れなければ、その日を平穏に終えることができない。

 

 契約が取れたらすぐに局へ連絡する。呼応するように「のこり42万!」「のこり27万!」といったメールが各メンバーに届く。課長や課長代理には金融渉外部長から「今日の数字はどうするんだ!」と圧がかかり続ける。

 

 若手は契約が取れるまで局に戻りづらく、耐えられずに自分や家族を保険に入れる「自爆」に走る者も。月末の有給消化は許されず、過剰労働が発覚しないよう、夜には社有端末の電源を切らされる職場もある。

 

 アポがない局員は、郵便局の端末で顧客情報を100人も200人もリストアップして印字し、1件ずつ電話してアポ取りをする。その光景を「オレオレ詐欺と変わらない」と自嘲する局員もいた。

 

 電話をかけまくり、口実を作ってアポが取れるまで、外回りには出られない。アポが取れなければ上司からなじられ、アポが取れても契約が取れなければまた叱られる。“ブラック” を絵に描いたような職場で、多くの渉外社員は正常な感覚を失っていく――。

 

 

 以上、藤田知也氏の新刊『郵政腐敗 日本型組織の失敗学』(光文社新書)をもとに再構成しました。かんぽ生命の不正販売、内部通報制度の機能不全、NHKへの報道弾圧、総務事務次官の情報漏洩……。その「腐敗の構造」を朝日新聞経済部のエース記者が徹底取材。

 

●『郵政腐敗』詳細はこちら

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