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東京五輪メイン会場、国立競技場の観客用トイレには温水洗浄便座がついてない!
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.05.11 19:00 最終更新日:2021.05.11 19:00
東京五輪(7月23日開幕予定)のテスト大会となる陸上競技が5月9日、国立競技場で無観客でおこなわれた。今大会は男子16種目、女子17種目の計33種目で、リオ五輪(2016年)銀メダリストのジャスティン・ガトリン(アメリカ・39)ら、海外選手を含む、約420人が参加した。
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陸上競技のほか、開会式のメイン会場でもある国立競技場は、2016年12月に着工され、約3年で完成した。整備費は1569億円で、収容人数は約6万8000人。五輪後は、サッカースタジアムを想定し、座席数8万人のモードにもできるよう拡張工事がおこなわれる予定で、完成すれば日本最大のキャパ数となる。
設計は建築家・隈研吾氏(66)が手がけ、周辺環境との調和や自然の力を最大限に利用した省エネ設計から、未来社会に適応するスタジアムと話題を集めている。
さらに、建築の特徴である「和」を強調し、外壁を取り囲む木材は日本建築特有の庇がイメージされ、47都道府県から調達したスギ(沖縄はリュウキュウマツ)が使用されている。
一方で、屋根の一部はガラスで覆われており、冬でも日光が降り注ぎ、芝の生育にも適した形状になっている。
日本の建築技術の英知を結集して造られた国立競技場だが、今回、本誌記者は競技場内の気になる施設をめぐってみた。そのいくつかを紹介しよう。
まず、いちばん最初に足を運んだのがトイレ。プレスや選手、車椅子の人が使用するトイレには温水洗浄便座がついているが、観客用のトイレにはなぜかついていない。
これについて、国立競技場の広報に尋ねると、「観客用のトイレに温水洗浄便座をつけると維持管理が難しいという点と、個室の長時間使用を懸念し、つけないという判断になりました。しかし、SNSの書き込みや、実際のお問い合わせなどから多くの批判の声を耳にしており、今後、温水洗浄便座設置については検討していきます」との回答だった。
次に観戦用の座席だが、どの席に座ってもフィールドが近く感じられる工夫がされている一方、客席の階段が急なうえに隣との間隔も狭く、中央の席に座った場合、通路に出るのに苦労しそうだ。
観客が利用可能な施設は、意外と充実している。たとえば、「カームダウン・クールダウン」と呼ばれる鍵つきの約1畳ほどの部屋。自閉症や発達障害を持つ人のために用意された部屋で、「パニックが生じたときに冷静になる」「静かなところに行きたくなったら過ごす」ことを目的としているそうだ。
そのほかに、休憩室や授乳室も用意されている。授乳室には電子レンジ、おむつの替え台、ゴミ箱などがあり、プライバシーにも配慮されており、鍵つきの部屋が2部屋とカーテンつきの部屋がそれぞれ用意されている。
さらに真夏の開催となれば、気になるのは熱中症対策。場内には気流送出ファンが185台設置され、ミスト冷却装置も8カ所に設けられている。これにより、快適な競技・観戦環境を生み出すことができるという。
テスト大会も混乱なく終わり、準備万端と言いたいところだが、肝心の五輪開催の可否はいかに――。