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自粛要請の「見回り隊」、じつは抜け穴だらけ…「その日だけ営業しない」飲食店が続々!
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.05.15 16:00 最終更新日:2021.05.15 16:00
「明後日の5月6日は、お店はお休み。だって『見回り隊』が来るからね」
そう語るのは、新宿3丁目にある、とあるバーのマスターだ。3回めの緊急事態宣言が発令された東京都では、飲食店での酒類の提供や20時以降の営業を自粛するよう要請されているが、このお店は、いっさい従っていない。
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東京都は、こうした飲食店に自粛を促すため、都の職員や警察官が店をまわって確認する「見回り隊」という活動をおこなっている。だが飲食店側は、こうした行政の目をかいくぐる、巧妙な手段を持っている。
「じつは、取引先の酒屋さんが見回り隊の情報をくれるんです。彼によると、5月上旬の見回り隊の活動は、新宿区のホームページに載っているそうなんです。イチから検索してたどり着くのは大変ですが、知らせてもらえれば楽ですからね。こういう情報は、ここらあたりの飲食店で共有していますよ」
ほかの店にも話を聞くと、「(見回り隊が来る予定の)6日だけは休業にします」と答える店主は、たしかに多かった。そして迎えた、5月6日の午後8時。本誌は、4名体制の見回り隊に密着し、新宿の繁華街を視察する様子を追った。
ぽつりぽつりと営業しているお店を見つけると、見回り隊はチラシを配り、自粛の要請をする。だが、1店舗あたりにかける時間は、わずか2~3分ほどだった。その後、新宿2丁目に場所を移したが、営業している店はほとんどなく、人影もない。見回り隊のパトロールは、空振りに終わったのだったーー。
後日、新宿2丁目のある店を訪ねると、店主は「見回り隊がくる日のリストがラインで回ってきたから、当然、休んだわよ。来ると分かっていたら、店は開けないでしょ。わざわざ『違反営業しています、協力金は返します』なんて人はいないわよ」と答えた。
抜け穴だらけの見回り隊に意味はあるのか。新宿区役所に問い合わせたところ、こう返答があった。
「たしかに見回り日を公表することは、『飲食店のみなさんに営業自粛をしてもらううえで、逆効果ではないか』という意見も頂戴しています。
しかし、私どもがやっていることは、取締りや違反営業をやっている方を捕まえることではありません。目的はあくまでも、できるかぎり自粛していただくこと、営業しないでいただくこと、お酒を出さないでいただくことが主眼であって、単なるお願いなんです。
最近は路上飲みに関するクレームが多くなってきているので、そちらも見回り隊などで対処していきたいと思っています」
コロナ禍で、どの飲食店も苦しい立場に追い込まれているのは間違いない。飲食店と自治体の戦いは、しばらく続きそうだ。