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東京スカイツリー開業で「目指せ!一番乗り」熾烈なバトルの記録/5月22日の話
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.05.22 06:00 最終更新日:2021.05.22 06:00
2012年5月22日、高さ634mを誇る世界一高い電波塔「東京スカイツリー」が開業した。初日はスカイツリーに約9000人、同日オープンした東京ソラマチに約22万人が詰めかけるなど、大きな賑わいを見せた。
一般人が展望台へ昇れたのは、22日正午からだった。入場券は、開業から2カ月先まで完全予約・抽選制が取られており、22日正午の入場チケットは実に335倍の競争率だった。
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実は、この日、スカイツリーへの一番乗りを目指して、各所で熾烈なバトルが繰り広げられていた。実際に一番乗りに挑戦したAさんに話を聞いた。
「私はどうしても初日に入場したかったのですが、展望台チケットはあっさりと完売してしまい、残念に思っていたんです。でも、いろいろ調べているうち、天望デッキのレストランの予約を取れば、自動的に上まで行けることがわかりました。
第1回目の予約は一杯だったので、第2回目の予約受付当日、パソコンの前で待機し、予約開始と同時に申し込みました。意外とあっさり取れて、こんなに簡単ならもっと取れるのかな、と思って再挑戦したところ、まったくダメでした。私はラッキーだったのでしょう」
当日、Aさんがスカイツリーに到着したのは午前11時半。しかし、レストラン専用口は、展望台ルートとはまったく別の場所にあり、どこに行けばいいのかよくわからない。
「初日はスカイツリー側も混乱していたようで、インフォメーションの人に聞いても、『この予約券は初めて見ました』『さきほど外に専用窓口ができたようです』と案内が二転三転する状況でした。
12時のオープン直前になって、ようやく予約券をチケットに交換できました。この段階でレストラン入場者は私だけでしたから、一番乗りできるかと期待しました。
でも、そこから先になかなか行けないのです。たまたま見つけたレストラン担当者が案内してくださったのですが、エレベーターに乗ろうとすると、別のスタッフさんから『先にチケットを買ってください』と止められる始末。
担当者さんが『チケットは持ってるんだけど』と言っても、『私はレストランのことはまったくわからないので、レストラン関係者に聞いてください』との返事。『いや、私がそのレストラン関係者なんですけど……』といったやり取りが繰り広げられました(笑)」
列はなかなか進まなかったが、いったん入場が許可されると、あとは速かった。
「入場待ちの大行列とは別のレーンに送り込まれたため、数百人ほどを一気に抜かしたんです。すぐにエレベーターに乗って展望デッキに向かい、そこから、さらに上に行くため必死に走りました。
天望回廊では、ゆっくり見物している人もいましたが、私は最高部を目がけてダッシュし、先を歩いていた先頭集団に追いつくことができました。
たしか、最初の5人くらいが順位の書かれた紙をもらい、みんなで記念写真を撮りました。正真正銘の一番乗りとはいきませんでしたが、たぶん10番目くらいにスカイツリー最高部に到達した人間になれました」
最高地点であるソラカラポイント(地上451.2m)についたのは、12時10分ごろだったという。
「でも、あの日は厚い雲がスカイツリーの上部を覆っていて、展望ゼロだったんです。悔しくて、その後も何度か遊びに行きましたよ(笑)」