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海岸に打ち上げられた「キャノンボールクラゲ」知られざる極上の食材だった

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.05.25 17:00 最終更新日:2021.05.25 17:00

海岸に打ち上げられた「キャノンボールクラゲ」知られざる極上の食材だった

発見者ジョディさんのフェイスブックより

 

 5月21日、アメリカ・ジョージア州の海岸に、60メートルにわたって大量のクラゲが打ち上げられた。優に数千匹にもなる大群で、クラゲの品種は「キャノンボールクラゲ」だと判明した。

 

 発見者のジョディ・ムーディさんがフェイスブックで「こんなに大量のクラゲ、見たことないわ」と写真つきで投稿すると、多くの「いいね」やコメントが寄せられた。だが、ジョージア自然資源局によると、夏から秋にかけて海岸に打ち上げられることは、それほど珍しいことではないという。

 

 

 そして、このクラゲ、実は知る人ぞ知る「極上の食材」だった。

 

発見者ジョディさんのフェイスブックより

 

「真ん丸で砲弾のような形をしていることから、キャノンボールクラゲと呼ばれます。当初はメキシコとアメリカで水揚げされ、加工されていました。

 

 いまは1年間で3億匹を超えるキャノンボールクラゲがメキシコで漁獲されており、日本で流通している業務用クラゲの多くがメキシコ産となっています」

 

 こう語るのは、キャノンボールクラゲに人生を捧げてきた、「くらげ普及協会」の会長を務める福田金男さんだ。

 

 福田さんがキャノンボールクラゲに大きな可能性を感じたのは、業務用クラゲの卸売業を営んでいた2000年頃。当時、韓国の業者から小さなクラゲが送られてきた。そのクラゲはアメリカ産キャノンボールクラゲだった。

 

「業務用クラゲは、以前は中国産ビゼンクラゲが使用されていました。業務用クラゲは、傘の部分の直径によって階級があり、直径15cmほどしかないキャノンボールクラゲは『5級品』にあたります。

 

 しかし、中国産ビゼンクラゲに比べると、肉厚で歯ごたえがあり、料理にしたときに美味しい。つまり、食感に関しては『1級品』なんです。

 

 食感がいいから、うまく使えないかなと思ったのですが、やはり小さいため、カットすると短くなり、料理にしたときふっくら感が出ず、高級料理には使えない。

 

発見者ジョディさんのフェイスブックより

 

 そのとき私がヒントを得たのは『蚊取り線香』でした。蚊取り線香の “ぐるぐる” のように、キャノンボールクラゲを渦巻き状にカットすれば、食材としての可能性が広がるんじゃないかと考えました」

 

 クラゲをリンゴの皮を剥くように細長くしたものが、現在日本でも市場に出回っている「渦巻くらげ」だ。福田さんは「渦巻くらげ」の特許を取得し、美味しい業務用クラゲを世に送り出した。

 

「渦巻くらげが流通しはじめてから、キャノンボールクラゲが表舞台に登場し、メキシコに加工工場が増えました。私も毎年、メキシコの工場に行かなければならないのですが、去年も今年もコロナで行けなくて残念です」

 

 オススメの食べ方は「ネギ油和え」だという。

 

「42年間、業務用クラゲ一筋の人生です。クラゲは本当に美味しい。キャノンボールクラゲの美味しさを伝えるために、これからも頑張っていきます」

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