原発事故後、東電社員の平均年収は700万円超から2割カットされ、現在は他の大企業並の約556万円になった。しかし、東電社員には給料以外の特典がけっこうあるようだ。そこで今回は、現役の東電中堅社員に、その”知られざる厚遇体質”を語ってもらった。
「普通、給与振込みの口座ってひとつじゃないですか。ところが東電の場合、伝統的に複数の口座を会社に登録できるんです。給料はここ、住宅手当はここ、家族手当はここ、といったように社員の希望どおりに振込み処理してくれるという非常に不可思議なシステムがあるんですよね」(上沼健吾・仮名・40代)
他社の知人に話すと「ヘソクリ貯め放題じゃないか」と羨ましがられるという。そのため、システムを知っている女性社員との結婚は控え、男性社員のほとんどが派遣社員や取引先企業の女性と結婚するそうだ。
「女子社員にきれいなコが少ないことと、この口座分割振込みシステムがあるから、東電の社内結婚率は相当低いんだと思う。いかにうちの会社が男性天国か、男尊女卑的な遅れた会社かってわかりますよ」(杉田千尋・仮名・30代)
東電社員は住宅手当もかなり手厚い。
前出の上沼さんの場合、福島にいたときの社保有一戸建ては、本来家賃15万円以上の物件だったが、家賃負担は3万円弱だったという。場所により違いはあるが、独身寮の場合、35歳までいられて寮費は2000円程度。社保有の社宅、借上げ社宅の場合、45歳まで家賃の半分が補助される(上限額あり)。
だが厚遇を受けるいっぽうで、彼らはこの1年間、周囲の批判にさらされ続けてきた。
「あまり報道されませんが、この1年間、東電は電力不足を補うためにほかのどの電力会社よりも必死に努力してきたんです。事故後、福島から東京に移ってきたとき、あまりのきらびやかさに驚き、平和そうな人々の笑顔にショックを受けました。そして、『電気止めちゃえばいいんだ』と本気で思いました。そうなってはじめて東京の人は被災地の人々の気持ちがわかるだろうと」(上沼氏)
「何かを主張できる立場にないとはわかっていますが、ネットで東電バッシングをしている人に言いたい。いま見つめている画面も電気があってこそなんだぞって」(杉田氏)
(週刊FLASH 2012年7月3日号)