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ワクチン接種したら「1億6000万円」アメリカで始まった大盤振る舞い

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.05.29 18:00 最終更新日:2021.05.29 18:00

ワクチン接種したら「1億6000万円」アメリカで始まった大盤振る舞い

カリフォルニア州のワクチンキャンペーン発表(写真:AP/アフロ)

 

 アメリカで、ワクチン接種した人に対する特典合戦が過熱してきた。

 

 カリフォルニア州は5月27日、総額128億円のキャンペーンを発表した。
州内でワクチン接種した住民のなかから、抽選で10名に1億6000万円が当たるほか、30名に550万円が、さらに先着200万人に50ドルのギフトカードが配られる。

 

 

 昨年3月から行動制限を続けているカリフォルニア州は、ワクチン注射を加速して、6月15日には経済活動を全面的に再開する予定だ。

 

 一足、先にワクチン宝くじを始めていたオハイオ州では、27日、最初の当選者が発表された。22歳の女性に1億円強、
中学2年生には年間数百万円にのぼる州立大学の授業料を免除する奨学金が与えられた。

 

 女性は中古車を買いに行く途中で当選の知らせを受け取ったそうだが、高級車にはせず、仕事もやめず、一部は寄付したいと語っている。

 

 オハイオ州では今後あと4回、1億円と奨学金の発表が続けられる。

 

 ニューヨーク州の接種者には最大5億円が当たる宝くじが配られるし、コロラド州、オレゴン州、アーカンサス州では1億円の抽選にエントリーできる。

 

 このほか、デラウェア州は週に2回55万円の現金や奨学金、旅行などが当たる。メリーランド州では毎日400万円が当たり、 ウェストバージニア州では16歳から35歳の接種者に1万円のギフトカードが配られる。

 

 一方、ミネソタ州は、魚釣りの無料券や動物園の無料入場券など、申請すれば確実にもらえるが、ありがたみが少ないため、地元では落胆の色が隠せない。州の予算によって明暗が分かれた形だ。

 

 アメリカでは28日までに国民の半数が少なくとも一回の接種を受けたが、バイデン政権は7月4日の独立記念日までに、その数を7割にしたいとの目標を発表している。

 

 しかし、当初は混み合っていた予約は、いまではすっかり落ち着き、各地で展開してきたドライブスルーなどの大規模接種会場は相次いで閉鎖されている。

 

 注射に後ろ向きの人も多いが、自治体側は対象年齢を12歳まで下げるなど、ペースをさらに上げたい考えだ。

 

 カイザー・ファミリー財団が5月18日から25日にかけておこなった電話調査(18歳以上、1526名)によると、ワクチン接種の様子見をしている人たちは全体の12%、昨年12月の39%からは大きく減っている。

 

 一方で、絶対に打たないと答えた人たちは13%。昨年末の15%からあまり変化がない。

 

 12歳以下の子供を持つ親への調査では、子供への接種の様子見が33%、絶対に打たない人は26%とさらに多かった。

 

 自治体の特典キャンペーンは、様子見している層には効果があるようである。

 

 アンケートでは 、スポーツやイベントなどの無料チケットで11%、自治体から100ドルもらえたら15%の人が接種を受ける動機になると答えている。

 

 UCLAが7万5000名のワクチン未接種者を対象にした調査でも、100ドルもらえたら打ってもいいと答えた人が3分の1ほどいた。

 

 実際、1億円の特典をいち早く発表したオハイオ州では、州全域でワクチン接種者が4割ほど増えたという。

 

 接種対象が低年齢化するのにともない、各自治体とも接種率を上げるための努力が続きそうだ。(取材・文/白戸京子)

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