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「日本はすでに “言論統制下” に」ミャンマーで拘束された北角裕樹さん、望月衣塑子さんが緊急警鐘

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.06.10 06:00 最終更新日:2021.06.10 06:00

「日本はすでに “言論統制下” に」ミャンマーで拘束された北角裕樹さん、望月衣塑子さんが緊急警鐘

5月14日、到着した成田で挨拶する北角さん。解放に協力してくれた人へ感謝を述べた(写真・アフロ)

 

 およそ1カ月に及んだミャンマーでの拘束から解放され、先月帰国したジャーナリスト北角裕樹さん(45)。「ミャンマーの国軍のトラックの音が、耳にしつこく甦ってくる」と、東京新聞記者の望月衣塑子さん(46)に打ち明ける。

 

望月さんといえば、安倍(晋三)政権での菅義偉官房長官との “会見バトル” で名を馳せた名物記者だ。じつは、2人は学生時代からの “親友” だ。マスコミ志望だった2人が知り合ったのは、とあるマスコミ塾。読売新聞の入社試験では、席が隣同士だった。そして現在2人は、ミャンマーと日本、それぞれの国で「言論」を守るために戦う“戦友”でもある。

 

 

 2人は、ミャンマーと日本の言論状況について議論を交わす。

 

北角「ミャンマーの軍が進めている『恐怖による支配』は、日本にも通じるものがあると思います。もちろん、日本では政府が民間人に銃を乱射することはありませんが、『政府には逆らえない』という雰囲気がだんだん強くなっているような気がします」
望月「たしかに、ミャンマーのように女性や子供が殴られるところまでには至っていませんが、やがて日本もミャンマーのように……」

 

北角「望月さんが官房長官の会見で批判的な質問をしたときに、まわりの記者たちが冷たかったのも『恐怖』からきているのでしょう。ネタ元である官邸に嫌われたくないという恐怖。完全に恐怖で、言論を統制しているわけじゃないですか。ミャンマーとレベルは違うにしろ、日本にも同じ構図がやっぱりあるわけです」
望月「菅さんは安倍長期政権のなかで、官房長官としてメディアを巧みにコントロールしてきた張本人です。とくに第二次安倍政権以降は、テレビ局に目をつけるようになった。たとえば『報道ステーション』(テレビ朝日系)は、私から見ると様変わりしました。明らかに政権に対して弱腰になった」

 

北角「何があったんですか?」
望月「チーフプロデューサーのXさんが更迭されたんです。彼女は久米宏さんの『ニュースステーション』の時代から20年以上にわたり番組を作ってきた人で、菅さんは『なんとかならないか』と、目をつけていたと聞きます。菅さんは安倍さんのように右に偏るのではなく、右も左も取り込んじゃえという人。だから、政権に批判的で、視聴率がよくて影響力のある『報道ステーション』が狙われたのだと思います」

 

北角「テレ朝の上層部が、忖度したわけでしょうか?」
望月「官邸は直接圧力をかけなくても、囲み取材の番記者にオフレコで『あの番組の内容は放送法に抵触する』などと、シレッと言うんですね。番記者がその談話のメモを政治部に上げて、編集局内で共有すると、『こんなことを言われている』と騒ぎになるわけですよ。結果、官邸を刺激しないような番組作りになっていくわけです」

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