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広末涼子がブームの火付け役「ポケベル」形を変えて生き残っていた/6月30日の話

社会・政治 投稿日:2021.06.30 06:00FLASH編集部

広末涼子がブームの火付け役「ポケベル」形を変えて生き残っていた/6月30日の話

ポケベル販売店の様子(1995年)

 

 2004年6月30日、NTTドコモがポケットベルの新規契約の受付を停止した。当時、全国展開でポケベル事業をおこなっていた唯一の企業だったが、3年後の2007年、ついにサービス自体が停止となった。

 

 ポケベルは1968年から始まったが、はじめは呼び出し音が鳴るだけで、外出の多い営業や経営者がターゲットだった。単なるビジネスツールだったポケベルが、若者の必需品になったのは1990年代からだ。

 

 

「14106=あいしてる」「724106=なにしてる」「0833=おやすみ」「3470=さよなら」など、数字の語呂合わせを利用したメッセージを送りあう遊びが流行し、ポケベルは急速に普及する。

 

 1996年に放送されたNTTドコモのCMでは、ショートヘアの広末涼子が「お誕生日にポケベル買ってもらった。お誕生日はうれしい。ポケベルはうれしいうれしい。さて、誰にベル番号を教えようか」と公園から駆け出していく。まだ15歳だった広末の名前を、全国に広めたCMだった。

 

 いっときはルーズソックス、プリクラ手帳と並んで「女子高生の三種の神器」と呼ばれたポケベルだが、ブームは短いものだった。1990年代後半から携帯電話が普及しはじめたからだ。

 

 地域限定で残っていたポケベルサービスは、2019年9月に東京テレメッセージが呼び出しサービスを終了したことで、ついに終焉を迎える。

 

 だが、実は、ポケベルの技術は意外なところで生き残っていた。防災事業に乗り出した東京テレメッセージが、ポケベルの周波数を利用して、自治体が配布した専用ラジオにメッセージを届ける仕組みを作り上げたのだ。

 

 実際に、2021年4月から運用を始めている、和歌山県かつらぎ町役場防災係の担当者に話を聞いた。

 

「提供されている280メガヘルツの周波数帯は、山間部や屋内にもしっかり電波が届きますし、データ量も少ないことから、防災ラジオを採用しました。普及率は7割程度でしょうか」

 

 新しい取り組みだけに、実際の運用では悩む場面もあるという。

 

「これまで防災情報を流したのは、5月の竜巻情報くらいで、ふだんは詐欺の注意喚起ですとか、最近ではワクチン情報などを1日1回程度のペースで流しています。

 

 情報がしっかり届くのがうれしいという声が大半ですが、なかには音がうるさい、機械音に慣れないという意見もあります(笑)。

 

 なかなか痛し痒しですが、いざ避難が必要なとき、ラジオの電源が落ちていたら元も子もありません。どのような情報を流していくのか、今後も試行錯誤を続けていくつもりです」

 

写真・朝日新聞

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