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日本初のタクシー会社誕生…初乗りはうどん1杯の30倍/7月10日の話

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.07.10 09:00 最終更新日:2021.07.10 09:00

日本初のタクシー会社誕生…初乗りはうどん1杯の30倍/7月10日の話

タクシー自働車の記念写真

 

 1912年(明治45年)7月10日、東京・有楽町に日本初のタクシー会社「タクシー自働車」が設立された。1カ月後には新橋と上野に営業所を開き、業務を開始したという。

 

 日本に自動車が入ってきたのは、1900年のことだった。皇太子殿下(のちの大正天皇)のご成婚を記念し、サンフランシスコからウッズ社製のビクトリア号が献上されている。タクシー事業が始まったのは、それからわずか10数年後のことである。

 

 

 交通史を研究する、高崎経済大学名誉研究員の大島登志彦さんがこう語る。

 

「日本初のタクシー事業は、馬車のような形をしたT型フォード6台から始まりました。当時国内にあった車のほとんどはフォードで、タクシーより先に街を走っていた乗合バスもフォードを使っていました。

 

 厳密には、1912年より前にも、貸切自動車という形で似たようなものはありました。しかし、タクシー自働車は、初めて料金メーターを車に取り付けた会社です。運賃は、1マイル(1.6km)につき60銭かかり、以降0.5マイルごとに10銭ずつ追加していくシステムでした。当時、うどんやそばは2銭だったといいますから、かなりの富裕層に向けた商売だったのでしょう。

 

 ちなみに、明治から大正にかけては、『自動車』と『自働車』という2つの字が混在しています。かつて警察が出した取締規則などを読むと、明治30年代の後半あたりから『働く』漢字を使うものが多くなるのです。人々の意識に、車は働くものだという感覚が入ってきたことの現れではないでしょうか」

 

 日本に自動車がじわじわと増えていくなか、タクシー事業を始める会社もあちこちに登場し、業態は勢いよく伸びていった。

 

「日本交通の社史を見ると、明治時代には人力車が約2万4000台、自動車はほぼ0でした。しかし、自動車の台数が徐々に追い上げ、1923年(大正12年)には人力車と自動車の台数が逆転しています。

 

 1925年の記録によれば、国内の自動車台数は約1万5000台で、そのうちタクシーは2500台を占めていました。道を走る車のうち、5台に1台はタクシーという時代があったのです」(大島さん)

 

 最初の1社ができてから、100年以上が経った。国土交通省の調べによれば、現在、国内のタクシー会社は約6000社もあるという。年月をかけ、タクシーは日本人の生活の一部となっていった。

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