爆買いはひと段落したが、中国人観光客はこの年末年始も多くやってきた。特に北海道や沖縄には多くの中国人が訪れ、日本人旅行者を圧倒するほどだった。
安倍政権は「2020年、訪日外国人旅行者を4000万人に」という目標を掲げる「ビジット・ジャパン」事業を進めているが、それなりに一定の成果を見せているようだ。
だが、次に考えなくてはいけないのは、爆買いに変わるお金の落としどころである。
現在、日本政府が力を入れているのが「医療ツーリズム」だ。中国をはじめとする各国の富裕層をターゲットに、自国では不可能な高品質の医療やコストの安い医療を日本で提供しようというもの。
2011年には医療滞在ビザが創設され、2013年には医療の国際展開が重要施策と位置づけられた。日本政策投資銀行は、2020年には年間約43万人の需要と5500億円の潜在的市場規模と見積もっている。
実際、日本で治療を受けた中国人旅行者のなかには、医療技術の高さだけではなく、病院内の施設の充実度や清潔度などに魅了され、継続して治療を受けたいと望む人も少なくない。
対応する病院も、院内の表示の多言語化や専門的な通訳の設置などが必要となるが、大きな需要が見込まれるため、すでに大掛かりな準備を始めている病院も多い。
また、富士通など、医療現場での多言語音声翻訳システムの実験を開始した大手電機メーカーもある。
「ちょっと手術をするのに日本へ」――そんな時代が間もなくやってくる。「爆買い」が終わった中国人は、次は「爆オペ(手術)」なのだ。