社会・政治
なぜ広島は土砂災害が起こりやすいのか…豪雨で引き続き警戒を
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.08.20 09:30 最終更新日:2021.08.20 09:46
8月11日から雨が降り続く広島県内は、不安定な気候が続いている。13日には広島市に大雨特別警報が発令されたほか、鈴張川は氾濫危険水位を超え、軽自動車が流されるなどの被害が発生した。
湯崎英彦・県知事は緊急会見を開き、「西日本豪雨と同様の危険な気象状況となっている。命に危険を及ぼす災害がいつどこで起きてもおかしくない」として、避難情報が発令された地域の人々にすみやかな避難を呼びかけた。
【関連記事:全国の “危険” 盛り土は地震でも崩壊リスク…「対策必要も自治体予算追いつかず」】
広島は、過去何度も豪雨にともなう土砂災害の被害にあっている。直近では、2018年6月から7月にかけての西日本豪雨や、2014年8月20日の大規模な土砂災害が思い出される。1999年6月におこった集中豪雨は32人の死者・行方不明者を出し、土砂災害防止法制定のきっかけとなった。
広島西部山系砂防事務所の担当者は、広島で土砂災害が起こりやすい理由についてこう語る。
「一つは、地質の問題です。広島の山地は主に広島花崗岩と呼ばれる岩からできているのですが、雨風にさらされ続けると、『マサ土』という砂のような土に変化します。これは水を含むと非常にもろく崩れやすくなってしまい、土砂災害が起こりやすくなるのです。
もう一つは、平たい土地が少ないという問題があります。関東平野などと違い、広島は山と川が多く、そのわりに人口が多い。山を開発して人の住む場所を確保してきたからです。ある意味、人間が山に近づきすぎたとも言えます」
度重なる被災をうけ、広島にはいくつもの砂防ダムが建設されてきた。今回の大雨でも、3カ所の砂防ダムは土砂と水で満杯状態となっており、大規模な被害を未然に防いでいる。
「現在、雨は少し落ち着いていますが(取材時点)、山から水が抜けるまで、気を緩めるのは危険です。今後も不安定な気候が続くため、引き続き警戒が必要です」(担当者)
写真・時事通信