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接種券も保険証も必要なし…暴力団員がすがる“シャブ抜き病院”での「偽名ワクチン接種」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.08.23 19:50 最終更新日:2021.08.23 19:51
「組関係者の間でも、新型コロナウイルスの感染拡大が広まっているよ。体感では、世間より重症化率が高い。シャブ(覚せい剤)を打っていたりと、不摂生な生活をしているやつも多いから、抵抗力が弱くなっているのかもしれない」
そう語るのは、関東地方のある暴力団関係者だ。
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「我々の仕事は義理事を重視するから、なんでもテレワークとはいかない。つい先日も幹部の出所を祝うために、岐阜刑務所の近くに300人が集まった。マスクはしているが、クラスターが発生してもおかしくない。知り合いの40代の組員は、コロナに感染して重篤になったと思ったら、亡くなってしまった。あっという間だったし、本当に怖いと思ったよ」(同前)
実際、関東のある指定暴力団はわざわざ「コロナウイルス感染等、健康管理には充分留意し体調を崩さぬ様、用心、ご自愛ください」と書かれた本部通達を出したほどだ。それだけに暴力団関係者にとっても、ワクチン接種は急務となっている。だが、彼らの多くは、一般人と比べ接種までに高いハードルがあるという。
「普通は自治体から接種券が送られてくるが、ヤクザのなかには住民票もなければ、保険証もない者がいる。そういう連中にワクチンを接種させるために、ふだんお世話になっている“シャブ抜き病院”にワクチン接種を依頼するんだよ」(同前)
“シャブ抜き病院”とは、暴力団員専用のかかりつけ医のようなものだという。
「警察に目をつけられていたり、危険なほどシャブを打ったりしてしまった場合、急いで体からシャブを抜く必要がある。そんなときにどこにも通報などせず、特別に処置をしてくれる病院があるんだ。表向きは通常のクリニックだけど、我々の事情をよく知ってくれているし、長い付き合いがある。そこにお願いして、ワクチンが入荷したという連絡をもらったら、偽名でワクチンを打ちにいくんだよ」(指定暴力団幹部)
ワクチンの管理は厳格におこなわれているため、チェックをすり抜けて打ってもらうのは至難の業。病院以外で入手できる、本当の意味での“闇ワクチン”は今のところ流通しておらず、「偽名ワクチン接種」が唯一の拠り所だという。
「たとえば強引に盗んできたところで冷蔵施設がないし、筋肉注射については門外漢だからね。静脈注射がうまいやつはいくらでもいるけれど……」(元組関係者)
新型コロナは、暴力団社会も蝕んでいるようだ。