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異形のステルス駆逐艦「ズムウォルト」トランプ大統領の審判は?

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.01.22 06:00 最終更新日:2017.01.22 13:41

異形のステルス駆逐艦「ズムウォルト」トランプ大統領の審判は?

『異形の駆逐艦「ズムウォルト」。写真:米海軍』

 

 トランプ氏が大統領に就任した。
 選挙前、それほど政策について語っていなかったトランプ氏だが、軍事面に関してはかなり具体的な数字をあげていた。

 

 たとえば、2016年9月、フィラデルフィアでの演説では、「私の外交政策は3語で伝えられる。『peace through strength(武力で平和を)』だ」とし、以下のような軍事増強を提言した

 

(1)陸軍を49万人から54万人に
(2)海兵隊を18万2000人から20万人に(大隊数を23から36に)
(3)空軍戦闘機を約100機増やして1200機に
(4)海軍の艦船を約80隻増やして350隻に

 

 トランプ氏の公式サイトでは、空軍の戦闘機は平均27年もたったオンボロで、アメリカ史上最も規模が小さいなどと書かれている。

 

 核が装備された米軍が歴史上最小とは思えないが、トランプ氏は国防予算の上限を撤廃することも検討している。だが、もし実際に軍備増強されたら、アメリカの財政は大幅赤字になると見込まれている。

 

 報道では、陸軍を54万人に増強すると、4年間で推定350億~500億ドル必要だという。また、艦艇を350隻にすると、今後30年間にわたり毎年約35億~40億ドルの追加予算が必要ともいわれている。

 

 そんななか、海軍関係者が今後の展開を注視している艦船がある。2016年10月に1号艦が就役したばかりのステルス駆逐艦「ズムウォルト」だ。全長約185mだが、従来艦の50分の1しかレーダーに映らない高度なステルス性を誇る。

 

 百数十km先の目標を一瞬で破壊できる主砲「155mm先進砲システム」を搭載、「指向性エネルギー兵器」や「レールガン」といった新兵器を積むことも可能とされる。

 

 問題は巨額な建造費で、1隻あたり約5000億円。イージス艦の約7倍だ。国防総省は、当初、32隻作る計画だったが、結局、3隻で終了する。

 

「ズムウォルト」は佐世保に配備される可能性もあるのだが、はたしてトランプ大統領はこの船をどう判断するのか。もっと安い艦船で数を増やすのか、あるいは「ズムウォルト」をさらに進化させるのか。

 

 実は、就役したばかりの「ズムウォルト」は、2016年11月、パナマ運河を航行中に突如動かなくなり、近くの米海軍施設まで曳航されている。

 

 ロシアメディアの「プラウダオンライン」は、その原因を中国製チップを使っていたことだと報じた。米軍が中核部品に中国製を使うとは考えられないが、もしその報告をトランプ氏が信じたら、反中意識をなお一層刺激する可能性が高い。

 

 中国とアメリカの軍拡競争は、こんなところからも燃え上がるのだ。

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