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コロナ禍の「給料ダウン」ランキング…丸紅もオリエンタルランドも年収250万円減!
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.08.29 06:00 最終更新日:2021.08.29 06:00
■前年比1816万円減ワースト1位の理由
「企業によって、業績とそれにともなう給料の変動が二極化した1年間でした」
人事ジャーナリスト・溝上憲文氏が語る。コロナ禍は、日本経済、そしてサラリーマンの給料を直撃している。
【ランキング表】給料が下がった企業ランクキング26位〜50位
最初の緊急事態宣言が発令された2020年4月から翌年3月(2021年3月期)と、コロナ禍が本格化する前の2019年4月~2020年3月(2020年3月期)を比較し、上場企業2459社を平均年間給与の増減率でランクづけした。
なお、「給与」は「給料(基本給)」に残業代や諸手当を含めた報酬のこと。本記事では、一般に広く使われている「給料」と表記する。
データは、世界最大の企業データベースを持つ東京商工リサーチが本記事のために集計したもの。持ち株会社化や分社化などで従業員数が大きく変わり、その前後で給料を比較することが適当でない企業は除外してある。
ワースト1位のイー・ギャランティは、じつに1816万円減となった。
「2020年3月期は、従業員へのインセンティブとして自社株式を交付したものが給与としてカウントされ、高額になったためです」(同社IR担当)
これは社員にとっては “納得” の結果かもしれない。
順位を見ると、重厚長大型産業を含めた老舗の大企業が多い。大きく落ち込んだのがレジャーや空運だ。
「ワースト2位のオリエンタルランド(258万円減)は、東京ディズニーリゾートの運営会社です。政府や各自治体からの休業要請により、ほとんど営業ができなかったことで、2020年の冬のボーナスは、7割カットと報じられていました」(溝上氏)
12位の日本航空(161万円減)も、全日空(今回の表では集計の対象外)と並んで、大きく給料が下がった。なお全日空は、2022年3月期の社員の年収が2020年3月期から4割減となる見通しが報じられている。
「減便が相次ぎ、業績が急激に悪化しました。日本航空は、コロナ禍の前は夏と冬にそれぞれ2カ月分のボーナスが出ていますが、去年は夏が1カ月、冬が0.5カ月にまで減少しています」(同前)
業界全体が落ち込むケースもあれば、勝ち組・負け組が混在する業界もある。溝上氏が注目したのは総合商社だ。
「22位の丸紅(261万円減)は、資源安の影響で、2020年3月期で約2000億円の赤字を出しています。一方、食品に力を入れるなど脱資源を打ち出している伊藤忠商事は、同期に約5000億円の黒字を確保。給料も4%増えています」
新興企業の場合は、まだ規模が小さいベンチャーだけに、“一本足打法” でつまずくと、給料に一気に跳ね返ってくる。
「5位の旅工房(101万円減)は、ネット専業の旅行会社で、収益の100%を海外旅行事業に頼っていました。42位のセレスポ(92万円減)は、スポーツイベントの制作・運営会社で、イベントが軒並み中止・延期を余儀なくされ、大損害を被りました」(財産ネット企業調査部長・藤本誠之氏)
調査対象期間の上場企業2459社の給料の増減率は、平均1.7%のマイナスだった。給料が増えた企業は、943社(全体の38.3%)にすぎない。“給料格差” はすでに始まっているのだ。
(週刊FLASH 2021年9月7日号)