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犠牲者44人「歌舞伎町ビル火災」から20年、焼け焦げた天井や階段…本誌が当時入手していた凄惨すぎる現場写真
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.09.03 18:40 最終更新日:2021.09.03 18:40
遡ること20年前、2001年9月1日未明、歌舞伎町で火災が起こった。
44人という都内では戦後最悪(当時)の死者を出した新宿・歌舞伎町の雑居ビル・明星56ビル火災。放火か、失火か……出火原因は、2021年になってもまだわかっていない。
しかし、同ビルは東京消防庁の査察で「避難器具の未設置」など消防法違反が指摘されていながら、大半が放置されていたことが判明している。
【写真15枚】天井が焼け落ちた「スーパールーズ」店内、現場付近の駐車場に残る血の跡……本誌が当時入手した「歌舞伎町ビル火災」現場写真
この事件は、雑居ビルの防火対策に警鐘を鳴らす契機となり、消防法も大きく改正された。改正事項の一つに、小規模なビルなどにおいても自動火災報知設備の設置などが義務づけられたことが挙げられる。
業務上過失致死傷罪に問われたビル所有会社の経営者ら5人に対し、東京地裁は2008年7月、執行猶予付き有罪判決を言い渡し、確定している。
本誌は、当時、報道されなかった明星56ビル内部の写真を入手している。
28人が犠牲となったビル4階のキャバクラ「スーパールーズ」の店内には、強烈な焦げ臭さと木を蒸し焼きにしたような異臭が立ち込めていたという。
出火場所は3階のエレベーターホールとみられるが、4階エレベーター扉の下半分が焼け焦げている様子から、ここに炎と煙、熱気が一気に這い上ってきたのがわかる。よほどの高温だったのか、屋上に続く階段の手すりも焼け焦げていた。
店内はカウンター部分や椅子の損傷は少ないものの、壁は全体にすすで黒ずみ、特に扉の高さから上あたりでは真っ黒に見える。カウンターの奥にある焼酎のボトルもすっかり黒ずんでいる。熱気が一気に吹き付けてきたためだろうか。また、天井がめくれ上がっている感じから、店内の上部が激しく熱気にさらされたことが窺える。
当時は、火災現場付近での “もう一つの謎” についての証言も複数上がっていた。現場から数十メートル離れた旧・コマ劇場付近を、血を流しながら歩いていて、その後、駐車場に止めていた車に乗り込んだ人物がいたという。たしかに駐車場には、血の跡が遺されていた。
諸説紛々だったこの事件。多大な犠牲を生んだ原因の一つは、ビルの防災意識が低かったことだ。現在も歌舞伎町には、避難路で荷物が塞がれ、通れないという指摘を警察から受けているビルが多数あるという。
当時の写真からもわかる火災の凄惨な様子……悲劇を二度と起こさないためにも、ビルの管理者には防災意識が求められる。