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文科省が組織ぐるみで天下り斡旋「天下り早慶戦」の結果は

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.01.26 13:00 最終更新日:2017.01.26 13:12

文科省が組織ぐるみで天下り斡旋「天下り早慶戦」の結果は

『揺れる文部科学省』

 

 文部科学省が組織的に天下りを斡旋していた問題が、世の中を大きく揺るがしている。

 

 2015年に早稲田大学に天下りした、元高等教育局長の吉田大輔教授は辞任を公表した。同大学の鎌田薫学長は、記者会見で「文部科学省の違法な斡旋行為を止められなかったことについて反省しています」と謝罪しつつも「不当な癒着はなく、不適切な便宜供与を受けたこともないし、求めたこともない」と弁明した。

 

 だが、私立大学への巨額な補助金と天下りはとても無関係とは言えない。

 

 早稲田大学は、2015年度には90億円を超える補助金を受け取っている。これは全国の私立大学全体で2位(「日本私立学校振興・共済事業団」の公表資料)の数字だ。

 

 そして、同年度、天下りは文科省から1人(前述の吉田教授)、総務省から1人。

 

 2015年度の補助金1位は日本大学の95億円。天下りは内閣府から1人、国交省から1人。

 

 補助金3位は慶応大学の82億円。2015年度は天下りはいないが、2014年度は文化庁から1人、厚労省から1人といった具合だ。

 

 国家公務員の早慶への天下りを一覧にすると、

 

2013年度 早稲田2 慶応1 
2014年度 早稲田2 慶応2
2015年度 早稲田2 慶応0

 

 となる。「天下り早慶戦」は早稲田の勝ちとなった。

 

 大学に交付される補助金は、以下の3つの設備を整えるために交付される。

 

(1)研究設備
(2)教育基盤設備
(3)私立大学研究ブランディング事業に係る研究設備

 

 見てわかるように、補助金を受け取る内容はかなりアバウトで、もっともらしい理屈をつければ、いくらでももらえそうである。

 

 ある国家公務員は「私大への補助金は膨大すぎて正確にわからない」と正直に打ち明ける。補助金は文科省が大半だが、それ以外の省庁からも出るからだ。

 

 やや古いが、2013年、安倍首相が補助金に関する答弁を行っている。そこには、文科省だけで24もの補助金があるとされている(全リストは文末に掲載)。

 

 実は、2016年度から、大幅に定員を超過して学生を入学させた私立大学は、補助金の交付を減額すると決められている。少子化で減少している学生の取り合いに終止符を打ち、年々増える補助金額を抑制するのが狙いだ。

 

 大学の進むべき道が、学生の取り合いから天下り役人の取り合いに移行しないよう、きちんとした対策が望まれる。

 

【文部科学省の補助金一覧(安倍首相の2013年の答弁より)】

「政府開発援助国際化拠点整備事業費補助金」8億円
「国際化拠点整備事業費補助金」89億
「研究拠点形成費等補助金」310億円
「大学改革推進等補助金」117億円
「私立大学等研究設備整備費等補助金」18億円
「私立大学等経常費補助金」3237億円
「私立学校施設整備費補助金」63億円
「私立学校施設高度化推進事業費補助金」20億円
「私立大学等教育研究活性化設備整備費補助金」45億円
「科学技術人材育成費補助金」82億円
「若手研究者戦略的海外派遣事業費補助金」15億円
「先導的創造科学技術開発費補助金」44億円
「地域産学官連携科学技術振興事業費補助金」164億円
「研究支援体制整備事業費補助金」10億円
「最先端研究開発戦略的強化費補助金」2億円
「研究大学強化促進費補助金」64億円
「共同利用・共同研究拠点形成事業費補助金」2億円
「研究開発施設共用等促進費補助金」88億円
「次世代医療研究開発拠点形成事業費補助金」42億円
「環境技術等研究開発推進事業費補助金」17億円
「原子力人材育成等推進事業費補助金」3億円
「文化芸術振興費補助金」4億円
「科学研究費補助金」の間接経費 275億円
「学術研究助成基金補助金」の間接経費 235億円

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