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菅首相 “忠臣ヅラ” 小泉進次郎に刺されたトドメ…孤独すぎる “逃げ恥辞任” 全真相
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.09.07 06:00 最終更新日:2021.09.07 06:00
まさに「青天の霹靂」ともいうべきだった、今回の菅首相の退陣表明。9月2日の時点では、首相は二階俊博幹事長に総裁選出馬の意向を伝えていたが、3日になって突如、不出馬を表明したとされる。
じつは2日の時点で、自民党内にはすでに「菅辞任」の噂が飛び交っていた。政治部デスクが語る。
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「2日の午後4時に、菅総理が二階幹事長と突然の会談をおこないました。それを受けて『総理が議員会館の自室で辞任表明するのでは』という情報が流れたんです。
しかし実際は、総理は二階氏に強い言葉で『ここで退くことなど許されない』と、総裁選出馬への意気込みを語ったとのことで、“辞任説” はいったん収まりました。総理が不出馬を決断したのは、2日の夜から朝にかけてです」
この数カ月で、菅首相の周囲からは明らかに人が離れていく様子が見て取れたという。
「神奈川県選出の河野太郎、小此木八郎、小泉進次郎の3議員は、議員宿舎で同じ神奈川選出の菅総理と夜な夜な集まっていたことから『神奈川三郎』と呼ばれていました。
しかし新型コロナウイルス感染拡大の歯止めが利かないなかで、まず河野氏が菅首相に距離を置き始めました。さらに小此木氏も、議員を辞職して横浜市長選に出馬しましたが、落選したことで総理との関係が途絶えました」(前出・政治部デスク)
ニューズレター『インサイドライン』編集長の歳川隆雄氏は、「菅総理は追い詰められていた」と指摘する。
「菅総理は無派閥なので、もともと味方が圧倒的に少なかったんです。そのうえ、相次ぐ選挙の惨敗で、総理を支援する議員グループ『ガネーシャの会』からも『菅さんでいいのか』という声が出てきていたといいます」
さらに、後ろ盾だった二階幹事長を交代させようとしたことで、二階派の議員からも批判が噴出した。政治アナリストの伊藤惇夫氏が解説する。
「恩義のある二階氏を退陣させてまで、総裁の座を守りたいのか、という反発を招きました。当然、菅総理は二階氏と、なんらかの裏取引をしたはずです。2日の会談は、総裁選出馬の意欲を語ったものではないと私は思います。自身の去就か、党内人事の難航のどちらかについて、菅総理が二階氏に相談に行ったのでしょう」
伊藤氏によれば、菅首相は当初、総裁選の前の解散総選挙を望んでいたという。
「五輪直後に、国民が盛り上がったところで解散、というシナリオでしたが、コロナ禍でのオリンピック開催への批判で、それは消えました。
そこで、安倍晋三前総理や麻生太郎副総理の推薦を取りつけ、無投票で総裁選を乗り切ろうとしましたが、安倍氏に近い岸田文雄氏や高市早苗氏が総裁選への意欲を示し、これも立ち消え。もう打つ手がないと、幹事長の人事で急場をしのごうとしたわけです。いわば、菅氏の延命のためだけの人事です」
しかし、総裁選目前のこの時期、菅氏が総裁に再選されると決まったわけでもないのに、幹事長を引き受ける人物などいなかった。そんななかで、首相が一縷の望みをかけてすがったのが、小泉進次郎環境相だった。
「『神奈川三郎』のなかで、菅総理の近くに残ったのは小泉氏だけでした。9月3日までの5日間、総理は連日、小泉氏と会い、会談しています。しかし最後まで、小泉氏が首を縦に振ることはありませんでした」(前出・政治部デスク)
3日、小泉氏は涙を流しながら「こんなに仕事をした政権はない」と菅首相の業績をたたえた。それだけ恩義を感じている小泉氏にとっても、幹事長職は “貧乏くじ” に映ったということだろうか。
かくして突然の辞任へと、孤独に追い込まれていった菅首相だが、政権から逃げ出したと批判が集まるなか、国会議員としての未来はあるのか。
「いまや、永田町でまともな支持基盤も持たない菅総理を顧みる人はいないでしょう。横浜市長選は『菅さんのせいで負けた』という意識が地元に根強く、自民党神奈川県連との関係も終わっています。このままでは、次の衆院選では自身が負けるかもしれません」(前出・政治部デスク)
政治家として役に立たず、「恥」だけが残った――。そんな首相の逃亡劇だった。
(週刊FLASH 2021年9月21日号)