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トランプ大統領「メキシコ国境の壁」建造費は2.3兆円
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.01.27 06:00 最終更新日:2017.01.27 09:34
トランプ大統領は、25日、メキシコ国境に「壁」を建設する大統領令に署名した。これは、「メキシコからの不法移民を防ぎ治安を守るためのもの」で、選挙戦で公約に掲げていた最大の目玉政策。
大統領令には、国境を管理する国土安全保障省の長官が「南の国境に沿って物理的な壁を即座に計画、設計、建設するための適切な措置を講じる」とあり、数カ月以内に建設が始まる見通しだ。
アメリカとメキシコの国境は約3200kmあるが、実は、2001年の9.11テロを受け、すでに1000kmほどフェンスや壁の建設が終わっている。
そう思うと、案外、実現可能な政策に思えるが、いったい壁の建設にはいくらかかるのか。
米紙ワシントンポストは、建設業界アナリストの言葉として、建設の総費用は200億ドル(2.3兆円)に達すると報道している。
現在の壁のほとんどは、テキサス州の平原にある。ところが、今後建造される場所は砂漠だけでなく、国立公園の大河、険しい山岳地帯、貯水池まであり、簡単に工事はできない。
さらに、政府所有ではなく個人所有の土地も激増することから、地主との交渉も大きな負担となる。
壁ができても、監視の目がなければ、越境は容易だ。そのため、大統領令では5000人の国境警備要員と1万人の移民管理要員の増員も決められた。この人件費に加え、壁の維持費、不法移民の収容施設など、必要経費は巨額なものとなる。
こうしたことから、本当に2兆円程度ですむのか、と疑問の声も多数出ているのだ。
大統領令への署名直前、トランプ大統領はアメリカABCテレビへのインタビューに答え、「かかったカネはメキシコが100%返済する。壁ができれば、何千人もの人命、数百万もの雇用を守れ、何十億ドルも節約できる」と自信満々に語っている。
メキシコのペニャニエト大統領は「決して壁の費用は払わない」としているが、さらにトランプ大統領は「払いたくないなら首脳会談はキャンセルしたほうがいい」とツイッターで追い打ちをかけた。両国の対立は深まるばかりだ。