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トランプ大統領が構想していた幻の「北方領土カジノ計画」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.01.28 06:00 最終更新日:2017.01.28 06:00

トランプ大統領が構想していた幻の「北方領土カジノ計画」

『写真:アフロディーテ/アフロ』

 

「北方四島にロシアと協力してカジノリゾートを作りたい。その仲介役を自分がやりたい」

 

 2005年6月、来日したドナルド・トランプ氏は、こんな「北方領土カジノ構想」を語っていた。トランプ氏と面会し、構想を直接聞いたのが、前参議院議員の浜田和幸氏だ。浜田氏が明かす。

 

「ビジネス・パートナーとして『和製トランプ』ともいわれた不動産王・高橋治則氏と組むために来日したんです。当時、トランプ氏はバブル崩壊のあおりで破産状態。金融機関が手の平を返すなかで、トランプ氏に救いの手を差し伸べたのが、ロシアの投資家でした。

 

 トランプ氏は恩義を感じて、ロシアを中心にビジネスを展開しようと決めたのです。ロシアにはまだ未開発の地域がたくさんあるから、各地にホテルやマンションを建設し、そのなかでカジノリゾートの構想も描くようになったんです」(浜田氏)

 

 それは北方四島に空港を建設し、世界最大級のカジノリゾートを建設するという構想だった。カジノの顧客はロシアや中国、韓国の富裕層を想定した。さらに空路でアメリカからも訪れると胸算用。建設候補地となったのは、国後島だった。

 

「国後島には大西洋単独横断飛行で有名なアメリカの飛行家、チャールズ・リンドバーグの記念碑があるんです。北海道に試験飛行してきたときに、濃霧にあって国後島に不時着し、漁民に救助されたのです。

 

 トランプはそうした日米の歴史的経緯を知り、国後島をカジノの候補地にしようとしたのです。国後島には金鉱山など手つかずの地下資源もありますから、資源開発も併せて進めようという構想でした」(浜田氏)

 

 構想は単にビジネスだけでなく、将来的に領土問題の解決も目指すものだった。

 

「領土問題は膠着状態ですが、観光など産業を育成することで北方四島の経済的な安定を図り、日本にとってもロシアにとってもウイン・ウインの関係がもたらせるのではないかと、トランプはじめ日米ロの関係者は考えたわけです」(浜田氏)

 

 2016年5月、トランプの北方領土カジノ化構想が久しぶりに日の目を見た。参議院外交防衛委員会で、浜田氏が岸田文雄外務大臣に質問したのだ。岸田氏はこう答えた。

 

「一般論で申し上げるならば、北方四島における共同経済活動については、我が国の法的立場、これを害さないということが大前提であると考えます。第三国を巻き込んだ形で共同経済活動を行うということになりますと、日ロ二国間の協力に比べて法的整理がより複雑になり困難になることも考えられると思います」

 

 結局、領土問題が横たわり、トランプのカジノリゾート構想は実現することなく10年以上が経過した。だが、ここへきて風向きが変わり始めた。安部内閣は昨年12月15日未明に、いわゆる「カジノ法」を、スピード審議で成立させている。プーチン大統領来日の直前だった。

 

「安部首相はプーチン大統領と会う前にカジノ法案を成立させようと急いだのではないでしょうか。私は安倍首相にトランプ氏の北方領土カジノ構想を伝えていますが、安倍首相の頭の隅にはそれがあったのかもしれません」(浜田氏)

 

 徹頭徹尾「アメリカファースト」(アメリカ第一)と言われるトランプ氏だが、かつては日米ロが「ウイン・ウイン」の関係をもたらす構想を提唱していた。トランプ氏に実際に会った浜田氏のトランプ評も巷間言われるところとは少し違う。

 

「トランプ氏は、自分が直接会った人間、自分と波長の合う人間とだけ、ビジネスをやるというスタイルです。恐れるばかりでなく、まず信頼関係を作る必要があると思います」(浜田氏)

 

 安倍首相は何度でもトランプに会いに行ったほうがいい。

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