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自販機に置かれた農薬入りドリンク、半年で12人殺害する/9月14日の話

社会・政治 投稿日:2021.09.14 13:00FLASH編集部

自販機に置かれた農薬入りドリンク、半年で12人殺害する/9月14日の話

 

 1985年9月14日、自販機の受取口へ、まるで取り忘れかのように放置されたドリンクを飲み、相次いで2人亡くなった。当時、日本各地で発生していた「パラコート連続毒殺事件」の被害者だった。

 

 パラコートとは、除草剤の一つだ。当時は18歳以上で印鑑さえ持っていれば、農協から誰でも購入できた。摂取量が多ければ死に至る代物だが、解毒剤はなかった。

 

 

 最初に事件が起きたのは、同年の4月30日。広島県で自販機を利用したトラック運転手が、自販機の上に置かれたドリンクを飲み、2日後に死亡した。被害者の嘔吐物からパラコートが検出され、毒殺と判明したのだ。

 

 歴史学者の濱田浩一郎さんが、こう語る。

 

「飲み物を使った毒殺事件は、1977年にも起きています。電話ボックスのなかに転がっていた、栓のしまったコーラの瓶を男子学生が持ち帰って口にしたところ、意識不明の状態に陥り亡くなったのです。

 

 調査の結果、コーラに青酸が入っていたことが判明します。同様の事件が大阪でも起きましたが、犯人は捕まらないまま時効を迎えています。

 

 この事件をきっかけに、自販機で販売される飲み物は、開封済かどうか一目でわかるような構造が採用され始めます。

 

 瓶入りの飲み物は、開封するとリングが落ちるように、缶入りの飲料は一度開けると戻せないプルトップ式に。パラコート連続毒殺事件は、その移行期間に起きてしまった事件といえます」

 

 パラコート毒殺事件は、わずか半年あまりで12人という多くの死者を出した。いずれも自販機の上や下、取り出し口に置かれた飲み物を、「ラッキー」とばかりに飲んでしまったケースだった。

 

 事件が報じられたことで、学生が自ら飲み物に殺虫剤を混ぜて飲んでしまう騒動も起き、社会に大きな影響を与えた。

 

 防犯カメラもなく、物証もほぼ残っていなかったことで、犯人はわからず迷宮入りとなった。

 

 実は、飲み物に毒物をまぜる事件は、つい最近、2019年11月にも起きている。秋田県にある自販機で、取り出し口に置かれていた缶ビールから、パラコートが検出されたのだ。

 

 うっかり置き忘れられたかに見えるドリンクは、飲まない方が身のためのようだ。

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