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「スマホから金メダル」が資源不足の日本を救う?

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.01.30 06:00 最終更新日:2017.01.30 08:49

「スマホから金メダル」が資源不足の日本を救う?

『写真:築田純/アフロ』

 

 オリンピックに欠かせない金・銀・銅メダル。2020年の東京オリンピックでは、すべてのメダルを捨てられたスマホや家電製品からリサイクルした金属で作ろうという議論が盛り上がっている。

 

「スマホから金メダル」はエコな環境をアピールするのに相応しいと小池百合子都知事は乗り気だが、いくつかの問題点がある。

 

 まずは材料が足りるのかどうかという問題だ。
 NTTドコモの発表によると、現在ドコモが年間で回収しているスマホと携帯電話の台数は350万台。約800万台を回収すれば金と銅の量は足りるという。3年間かければ可能な数字だ。金と銅の余った分は売り、その利益で銀の足りない分を購入する見込みだという。

 

「スマホから金メダル」はキャッチフレーズとしては魅力的だ。
東京オリンピックに向けて、多くの家で死蔵されているスマホとレアメタルを回収する流れが定着すれば、意味のある取り組みになるだろう。

 

 だが、もうひとつ問題点がある。リサイクルされたレアメタルは、すでに産業には欠かせない役割を果たしていることだ。スマホや家電製品から取り出されたレアメタルは「都市鉱山」とも呼ばれ、為替などの影響を受けにくい原材料として高い需要がある。それらが優先的にオリンピックメダルに使用されるとなると、産業へ与える影響は少なくない。
 

 

 オリンピックというイベントのために産業が弱体化してしまっては、本末転倒な話で笑うに笑えない。

 

 そこで検討されているのが、リサイクル技術が未発達のアジア各国で廃棄されたスマホやノートパソコンを積極的に輸入すること。

 

 これまでも廃棄スマホの輸入は行われてきたが、規制が多いため、日本への輸出は敬遠され、多くがヨーロッパに渡っていた。経済産業省と環境省が現在の規制を緩和させ、廃棄スマホの輸入量を増やそうと動いている。

 

 外国の鉱山を掘るにはさまざまな制約があるが、「都市鉱山」であれば、すでに確立された技術をフル稼働すればいいだけ。
廃棄スマホの輸入が増加しオリンピック後も定着すれば、大きな鉱脈を見つけたのと同じ意味を持つ。

 

 かつて「これが私のレガシー」と自身の古いガラケーを披露したことがある小池百合子都知事。「都市鉱山」発掘への道筋を作ることができるだろうか。

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