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福島第1原発「汚染水は1日400トン増え続け…」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2013.03.07 07:00 最終更新日:2016.03.01 22:34
事故からまもなく2年が経過する福島第1原発。3月1日には現地の様子が報道陣に公開された。取材のためには、手袋三重、靴下二重、防護服を厳重に着用する。顔全面を覆う防護マスクは息苦しく、2時間余りが経過すると、頭がボーッとするほどだ。構内に入ると、記者が手に持った線量計は、放射線量の高いことを示す警告音が鳴りっぱなしだった。
原発作業員は、このような過酷な状況下で作業を続けている。
いまも最大の問題となっているのが、汚染水の処理だ。1〜3号機の原子炉内を冷却するため、日々、水を注入しつづけているが、相変わらず1日に400トンもの汚染水が増えつづけている。そのため原発の敷地内には1,000トンの汚染水を貯蔵する巨大タンクがずらりと並ぶ。
現在、汚染水の放射性物質濃度を下げる施設を建設中だが、これが完成しても、現在は汚染水を海に戻すことすらできない。完全に放射性物質を除去できないからだ。今後、地元の合意が得られれば施設を通した汚染水を海に流したい意向だが、それは許されまい。
タービン建屋に目を移すと、海側に面した箇所の瓦礫はほとんど撤去されておらず、津波で横転したトラック数台がそのまま放置されている。ほかにも敷地内では、事故直後の姿をそのままさらしている場所が多く点在している。いずれも放射線量が高いため、近づくことができないのだという。
そうした場所の線量は1,500マイクロシーベルトを優に超えていたが、これは都内の本誌編集部で測定した数値の実に1万倍以上だ。ある原発関係者はこう言う。
「誰も経験していない放射線との戦いが続いている。放射線は見えないし臭いもないので、作業員の恐怖感が次第に薄れている。確かに爆発直後に比べて作業環境はよくなってきたが、被曝量を減らすことが重要だ」
かつて取材した別の原発作業員は「苦しくなったら隠れてマスクを外すのさ。そうしないと息が苦しくなるからね。でもべつに問題はないよ」と吐露したことがあった。見えない放射能は、その影響が見えてきたときには、恐ろしい事態になるはず。それは何年先のことになるかわからない。
事故の結果、費やされる膨大なカネ、時間、人。あれから2年が経とうとするいま、日本の原発は再稼働されようとしている。
(週刊FLASH 2013年3月19日号)