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最有力の岸田文雄氏も「勝ちたくない」とボヤキ……「安倍・高市・麻生」と「小泉・石破・河野」対立が残す総裁選後の禍根

社会・政治 投稿日:2021.09.28 06:00FLASH編集部

最有力の岸田文雄氏も「勝ちたくない」とボヤキ……「安倍・高市・麻生」と「小泉・石破・河野」対立が残す総裁選後の禍根

高市氏(左)と河野氏(右)の泥沼戦争は収束を見通せない

 

「こんなに苦戦するとは考えていなかった。やはり9月2日の “あの発言” で、局面が大きく変わってしまった」

 

 岸田文雄前政調会長(64)の選対関係者がうなだれる。

 

 あの発言とは、森友学園への国有地売却をめぐる公文書改ざん問題で、「国民が納得するまで説明を続ける」としたBS-TBSの番組内での一件だ。6日になって軌道修正したものの、安倍晋三前首相(67)の癇に障った結果、安倍氏は高市早苗前総務相(60)の支持を明確にしたのだった。

 

 

 自民党総裁選は、岸田氏、高市氏、河野太郎行政改革担当相(58)、野田聖子幹事長代行(61)の4人が立候補した。政治ジャーナリストの角谷浩一氏が語る。

 

「これだけ混戦となったのは、党を掌握できる人間がいないということ。今後、自民党の力が弱まっていくことは間違いありません。総裁選後、党内では遺恨が残るでしょう」

 

 ある若手議員はあきらめ顔でこう明かす。

 

「安倍さんは、衆院選後に自民党の最大派閥である清和会(細田派)の会長職に就任するとみられている。安倍さんにうまく取り入っている高市さんは、そのタイミングで同派に復帰するらしい。『派閥を割るな』という安倍さんの意向で、下村博文政調会長(67)が出馬を見送った清和会の内部には、高市さんに対して複雑な思いがある」

 

 角谷氏が解説する。

 

「総裁選後には、これまで清和会の次代を担うといわれてきた下村氏や萩生田光一文科相(58)、その後に続く稲田朋美元防衛相(62)、西村康稔経済再生相(58)らの影響力も大きく低下するでしょう。その代わりに台頭するのが、当選3回以下の若手議員約90人からなるグループ『党風一新の会』を立ち上げた福田達夫衆院議員(54)です」

 

 福田氏は当選3回で、祖父の赳夫氏、父の康夫氏は首相経験者だ。今まで派閥内でも発言力の弱い “眠れる獅子” だったが、若手議員の支持で一躍、同派のホープとなった。

 

 自民党関係者が語る。

 

「じつは安倍さんから “高市支持” を強要されて、反発している若手議員は多い。今は、親分がカネをくれることもほとんどなく、派閥の意味は薄れてきている。もう命令だけしてカネをくれない安倍さんの時代ではないということだ」

 

 だが、“キングメーカー” の座を狙う安倍氏は暗躍中だ。二階派の幹部議員が語る。

 

「そもそも、今回の総裁選は菅義偉首相(72)の無投票再選となるはずで、安倍さんとも “握って” いたはず。ところが、菅さんの支持率の低下に焦った安倍さんらが、二階俊博幹事長(82)を降ろそうと画策した。その機に乗じて高市さんが立候補表明した際には、その裏に安倍さんの存在を感じた菅さんは『(立候補など)させるか!』と、呟いたそうだ」

 

 こうして、高市氏の立候補をめぐって菅氏と安倍氏には禍根が残ったが、より深刻なのが、菅氏と麻生氏の確執だという。政治部デスクが語る。

 

「最後に菅氏が党役員人事と解散でなんとか窮状を打開しようとしたとき、麻生氏は菅氏が狙った、麻生派の子分である河野氏の重要ポストへの起用を頑なに拒み、結果的に菅政権が瓦解に至ったとの見方がもっぱらです」

 

 安倍氏は高市氏を担ぎ上げ、結果的にそれを援護する形になった麻生氏。この “ATA(安倍・高市・麻生)” ともいうべき連合結成に、菅氏は黙っていなかった。

 

「麻生氏に怒りを募らせた菅氏は、麻生氏と “水と油” である石破茂元幹事長(64)に連絡し、河野陣営に引っ張り込んだと聞いています」(同前)

 

 そして、菅氏は河野氏を支持することを表明した。現職の首相としては異例のことだ。麻生派は、河野氏、高市氏、岸田氏の支持者に分かれた。前出の自民党関係者が語る。

 

「所属する麻生派のなかでも、河野さんを心底支持している議員はそう多くない。河野さんが総裁になっても、党内基盤は相変わらず弱いままなので、政権運営にはかなり苦労するだろうというのが党内の一致した見方だね」

 

 小泉進次郎環境相(40)も、河野氏の支持者だ。党員人気の高い小泉氏、石破氏と河野氏による “小石河” 連合である。

 

「河野氏支持を表明した会見の際、進次郎氏は “高市支持” を押しつける安倍氏を念頭に、ほかの選択肢を封じる姿勢を正面から批判しました。安倍氏はその発言に激怒していますが、それを伝え聞いた進次郎氏は『だからなんだっていうの』と譲らない姿勢だそうです」(政治部デスク)

 

 一方、野田候補は現在のところ、候補者4人のなかで、最下位となるだろうとみられている。政治部記者が語る。

 

「野田氏を候補者に擁立したのは二階氏で、目的は “岸田潰し” です」

 

 二階氏は、野田氏を立てれば、岸田氏の票を少しでも食えると判断したのだ。

 

「岸田氏は、総裁選出馬会見で、党役員任期を連続3期・3年にする考えを示し、幹事長職に就いて5年を超える二階氏の続投にNOを突きつけました。このことに二階氏は激怒したのです」(同前)

 

 一方の野田氏は、過去3度の総裁選では推薦人が集まらず、立候補すらできなかった。

 

「今回は、二階氏の後押しで出馬にこぎつけられたわけです。本人は『かませ犬でも、もう十分だ』と思っているのではないでしょうか。二階氏の目論見どおり岸田氏が負ければ、党人事で岸田氏は徹底的に干されるでしょう」(同前)

 

 総裁選の投開票が、いよいよおこなわれる。政治アナリストの伊藤惇夫氏が、総裁選後を見通す。

 

「仮に岸田政権になった場合、党員票を考えれば、河野氏や進次郎氏を重要なポストに就けないと衆院選に悪影響を及ぼすでしょう。一方で、安倍氏や麻生氏の意向を汲み、高市氏の処遇を考える必要もあります。閣僚人事は非常に難しいものになるでしょう」

 

 “ATA” と “小石河” の泥沼戦争は収束を見通せず、一体感を欠いた次期政権は短命に終わるという予測がある。

 

「俺は今回、勝ちたくない」
 総裁選が迫るにつれ、岸田氏は周囲にそうこぼすことがあるという。

 

(週刊FLASH 2021年10月12日号)

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