社会・政治
さいとう・たかをさん死去も「物語は続く」――本誌に語っていた「50年以上の連載を可能にした分業制」と「『ゴルゴ13』最終話」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.09.29 16:37 最終更新日:2021.09.29 16:37
『ゴルゴ13』などの作品で知られる漫画家のさいとう・たかをさんが、すい臓がんのため9月24日午前10時42分に亡くなった。享年84。
さいとうさんといえば2020年2月、本誌のインタビューにおいて、政府の新型コロナウイルスへの対応を「後手後手になっている」と厳しく批判していた。さらに、このコロナ禍を生き抜く心がけについて「正面から向かっていくしかない」とも呼びかけた人物だ。
【関連記事:ゴルゴ13も驚く「世界最高のスナイパー」はカナダ兵】
『ゴルゴ13』を連載中の『ビッグコミック』(小学館)の編集部は、ホームページ上で「氏には創刊の年から53年続く看板連載作品『ゴルゴ13』のご執筆のほか言葉に尽くせぬお力添えを賜りました。生前のご功績に心から賛嘆と感謝を申し上げ、謹んで氏のご冥福をお祈りいたします」と悼んだ。
そして、「だが、物語は続く」と発表し、『ゴルゴ13』の連載が継続されることも明らかに。
「さいとう氏は生前から『自分抜きでも「ゴルゴ13」は続いていってほしい』という、いわば分業体制の究極とも言えるご希望を持たれ、さいとう・プロダクションを、そのような制作集団として再構築されました」と説明している。
この分業体制について、さいとうさん本人は2018年12月、本誌にこう語っていた。脚本家、武器の担当者、資料収集、作画……。それぞれがプロの仕事をしなければ、50年以上続いた『ゴルゴ』の連載は成立しなかったという。
「最初から、この仕事はチームプレーでやらなければいけないと思っていました。いろんな才能を持ち寄れば、完成度が高いものが作れる。最初からチーム作りを考えました。
それで脚本部を作った。最初は脚本家と相談していましたが、次第に私の描きやすそうなものしか上がってこなくなったので、会わないことにした。私の発想を超えるものに、つねに挑戦したかったんです」
さらに、『ゴルゴ』の最終話について、さいとうさんは本誌に明かしている。
「ラストの話は、50年前に考えてあります。コマも台詞も私の頭にかっちり入っていますよ。私の右腕左腕だった、石川フミヤスと武本サブローには話しましたが、2人とも亡くなりました。あとは私の頭の中にあるだけです」
さいとうさんの遺志を継ぎ、連載が続く『ゴルゴ13』。最終回執筆のバトンも、「チーム」に託されているはずだ。