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「冬のホワイトハウス」は入会金倍増トランプ大儲けで高笑い

社会・政治 投稿日:2017.02.08 20:00FLASH編集部

「冬のホワイトハウス」は入会金倍増トランプ大儲けで高笑い

『スーパーボールパーティに到着したトランプ大統領(公式フェイスブックより)』

 2月10日、アメリカの首都ワシントンで日米首脳会談が開かれる。いったいどんな会談になるのか、大いに気になるところだ。安倍総理は周辺に「トランプ氏が喜ぶお土産を探せ」と檄を飛ばしており経団連も大慌て。トヨタ自動車もアメリカへのインフラ投資や工場拡張でアメリカ人の雇用を増やすという。同時に、アメリカからシェールガスなどエネルギー資源の輸入を拡大する算段で、てんてこ舞いの様子。安倍総理も経済界もこぞってトランプ様のご機嫌を取ろうと必死で走り回っている姿は滑稽としか言いようがない。

 

 トランプ氏の「強く出ることで、勝負を有利に展開する」という交渉術は、長年、不動産、カジノ、そしてテレビ業界で実践してきた手法に他ならない。これまでのところ、トランプ流はそれなりに成功しており、新大統領は笑いが止まらない。

 

 トランプ氏は、この2月最初の週末、「冬のホワイトハウス」と勝手に命名したフロリダの豪華なマンションやゴルフクラブを会場にして、「赤十字のチャリティー舞踏会」や「スーパーボウルの観戦ディナー」を開いている。会場に乗り込む際には大統領専用機「エアーフォース・ワン」を使ってタダで移動。2つのビッグイベントの会場は自分が所有するものだが、大統領がやって来るというので、使用料は青天井となっている。その儲けは全てトランプ氏の会社に入るという美味しい仕掛けだ。

 

 そして日米首脳会談の翌日、2月11日には安倍総理夫妻をこの「冬のホワイトハウス」に「エアーフォース・ワン」で招待する。「ゴルフ場でのプレーを楽しみながら親交を深める」とのことだが、安倍総理ご一行様から巨額の“宿泊料”を取れると思えば、異例の厚遇も納得である。

 

 大統領当選以来、同氏の所有する不動産価格はうなぎ上りとなっている。「冬のホワイトハウス」は「Mar-a-Lago」という会員制クラブなのだが、新規の入会金が、それまでの10万ドルから20万ドルに一挙に倍になった。広大な敷地にゴルフ場、ビーチ、プール、スパが併設され、結婚式やイベント会場としてセレブの間では超人気。世界中から大富豪が押しかけるため、このところ予約を入れるのも大変で、126部屋は常に満杯となっている。宴会場や会議室の使用料も10万ドルから30万ドルと、これまたバブル絶好調の様子。いずれにせよ、この1年間でクラブの収益は1500万ドルから3000万ドルに倍増し、かつて閑古鳥が鳴いていたのがウソのようだ。

 

 昨年末、安倍総理はトランプ氏に金のゴルフクラブをポケットマネーでプレゼントしたが、そのお土産を持参したニューヨークにそびえる金ぴか「トランプ・タワー」の価格も急上昇中だ。夫人と息子が6月まで住み続けるので、ホワイトハウス並みの厳重な警備体制が敷かれており、安全・安心が売り物なのだ。

 

 しかし、一方で、「警備が厳重過ぎる」とのクレームもうなぎ上り。なにしろ、食事のデリバリーを頼んでも入館に時間がかかり、せっかくの温かい料理が冷めてしまうというのだ。知人が訪問する際にも持ち物検査がおこなわれるため、わずらわしいことこの上ない。実際、周辺に24時間態勢で警備車両が陣取っているため、一般車のアクセスも難しくなっている。

 

 このトランプ・タワーは238部屋あるが、現在、5部屋が売り出し中で3部屋が賃貸募集中。7月からは夫人も息子もワシントンのホワイトハウスに引っ越すので静かになるはずだが、それまで騒動は続くだろう。

 

 トランプ・タワーはニューヨークだけでなく、世界9都市にそびえている。トランプ・インターナショナル・ホテルは7カ所。ゴルフクラブに至っては世界17カ所に展開中だ。それ以外にも、「トランプ・フィッシュ」という名のレストランから始まり、ワインやアイスクリームまで、すべて「トランプ」の名前をつけて売りまくっている。

 

 まさにトランプ氏は筋金入りのビジネスマンといえるが、大統領の座をこれほど自分のビジネスに取り込んだ例はないだろう。
 トランプ氏がしばしば口にする言葉に「押し売りはしない。相手が納得して自分で選んだと思うように仕向ける。これが大事だ」というものがある。いったい安倍総理は、どんなトランプ・ブランドを買わされるのだろうか?

 

<著者プロフィル>浜田和幸
 前参議院議員。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒、米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。2011年以降、総務大臣政務官、外務大臣政務官兼東日本大震災復興対策推進会議メンバーとして、外交の最前線で活躍。専門は「技術と社会の未来予測」「国家と個人の安全保障」「長寿企業の戦略経営」。近著に『この国の本当のかたち 数字で見る日本の実力』(廣済堂出版)ほか多数。

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