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超名門「霞ヶ関カンツリー倶楽部」はオリンピックにふさわしい?

社会・政治 投稿日:2017.02.09 17:00FLASH編集部

超名門「霞ヶ関カンツリー倶楽部」はオリンピックにふさわしい?

『写真:渡辺正和/アフロ』

 

 2020年の東京オリンピックゴルフ会場となる霞ヶ関カンツリー倶楽部(以下、霞ヶ関CC)は、これまで日本オープン4回、日本女子オープンが1回開催された、超がつくほどの名門ゴルフ場のひとつ。1929年にオープンし、1957年に開催された第5回カナダカップ(現在のワールドカップ)で個人、団体で日本人が優勝したことで、日本でもゴルフが普及したとされる。

 

 この名門コースに、突如として「オリンピック会場としてふさわしくないのでは?」という声が上がりはじめた。霞ヶ関CCは埼玉県川越市にあり、選手村のある東京都中央区から約70kmも離れている。また、オリンピック中の8月には気温が35~40度と予想されている点も懸念されている。

 

 それ以上に国際オリンピック委員会(IOC)が問題視しているのが、女性が正会員になれないという閉鎖性だ。正会員になれないだけではなく、原則として日曜日に女性がプレーすることもできない(閑散期は可能)。これは「男女平等の原則の完全実施」を目指すオリンピック憲章と完全に相反している。

 

 また、霞ヶ関CCには独自の「霞ヶ関ドレスコード」があり、男性はブレザーやジャケットの着用、女性のスカート丈はひざ上5cm以内などかなり厳しいと評判だ。

 

 どちらも時代錯誤な印象だが、実情はどうなのだろうか? 競技ゴルフで腕を磨き、霞ヶ関CCでプレー経験もあるアマチュアプレーヤーのAさんに話を聞いた。

 

「最近はネットでゴルフ場を予約するのが普通ですが、今でも霞ヶ関CCは正会員の同伴でなければプレーできません。正会員になりたいと思っても会員権が市場に出回ることはないので、いくらお金を積んでも買えません。正会員数は1200名程度で、皆さん相続で受け継いでいるといわれます。もちろん相続でも女性は正会員になれません。ただ、霞ヶ関CCはアマチュアの試合に理解があり、さまざまな大会が開かれているので、自分も試合で何度か訪ねています」

 

 日本を代表するプロゴルファーの松山英樹が大ブレイクしたのも2010年に霞ヶ関CCで開かれた「アジアアマチュア選手権」で優勝し、マスターズへの出場権を得たことがきっかけだった。

 

「ドレスコードは、確かにクラシカルな感じですね。でも『今どき』ではなくオーソドックスなスタイルを意識すればいいだけなので、それほどピリピリしなくても大丈夫ですよ。例えていえば『平服』でと書いてある結婚式で本当に『Gパン』で行くと恥をかくイメージですかね(笑)」(Aさん)

 

 霞ヶ関CCは好きなコースと言い切るAさんだが、それでもオリンピックの開催場所としては「微妙」だと首をかしげる。

 

「プライベートコースであれば女性に開放しないというポリシーを持つのもわからなくありませんが、霞ヶ関CCは非営利の一般社団法人なんですよ。税金の優遇を得ているのですから、そこは改正するのが筋だと思います」

 

 マスターズの開催地として知られるアメリカのオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブも以前は女性会員を受け入れていなかった。しかし、霞ヶ関CCと同様の議論が起こり、2012年以降は女性会員を受け入れることになった。

 

 2014年にはイギリス・セントアンドルーズも女性に門戸を開いたが、同ミュアフィールドは女性会員を認めないという結論を下している。

 

 代替候補地として名前が挙がっているはゴミの埋め立て地を造成した若洲ゴルフリンクスだ。東京都が運営するパブリックコースで、離着陸する飛行機が間近に見られて東京らしさを感じられる。

 

 若洲ゴルフリンクスは都心から近く、手ごろな価格でプレーできるのが魅力だとAさんは言う。あくまでも個人的な見解だと前置きをしながら「埋め立て地のコースなのでアップダウンがありません。よっぽど風が吹かなければ、スコアが伸びすぎて試合としてはつまらなくなる可能性があります」と話してくれた。

 

 まだまだ問題が山積のオリンピックの競技場問題。霞ヶ関CC は2月7日に理事会を開いて対応を協議したが、結論は持ち越しとなった。誰もが納得できる着地点は見つけられるだろうか――。

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