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トランプの娘「イバンカ」のブランド販売で日本企業が困った!

社会・政治 投稿日:2017.02.12 17:00FLASH編集部

トランプの娘「イバンカ」のブランド販売で日本企業が困った!

『安倍首相とトランプ大統領の握手を見るイバンカさん(首相官邸ホームページより)』

 

 トランプ大統領のツイッター発言がまたもや物議を醸している。何かといえば、娘イバンカのブランド商品の取り扱いを中止すると決めたアメリカの大手百貨店ノードストロームに噛みついたこと。

 

 曰く「彼女は素晴らしい人間で、私が正しいことをするよういつも後押ししてくれる。そんな彼女が不公平な扱いを受けている」というわけだ。 

 

 確かに、代表的な百貨店のノードストロームでは、これまで洋服、靴、宝石など71品目のイバンカ商品を取り扱っていた。しかし、急激に売れ行きが落ち込んだため、今季限りで販売を中止。その企業判断に対して大統領が口を出すとは、親バカも極まれりといえるだろう。

 

 イバンカが最初に日本で注目を集めたのは、安倍総理がトランプ氏をニューヨークのトランプ・タワーに訪ねたときのことだった。

 

 当選後初めて外国の指導者と顔合わせするということで、世界が注目した安倍・トランプ会談の場にしっかりと同席していた。しかも、全身、自分がデザインした衣装と宝石を身にまとっての登場だった。

 

 アメリカでも話題となると同時に大きな批判を浴びたのだが、外交官でも政策アドバイザーでもない彼女がなぜ日本の総理との会談に同席したのか。

 

 実は、彼女は近く日本の大手アパレルメーカーと独占販売の契約を結ぶ交渉をしていたのだ。父親の次期大統領が進出先の日本の最高指導者と会う場に同席することで、「有利な条件で対日進出をまとめ上げようとした」と勘繰られてしまった。

 

 しかも、その後、イバンカは「私と2人だけでお茶を飲みたい方に45分間の時間を作ります。希望する方は入札をお願いします」と派手なネット入札を始めた。すると、彼女を通じて次期大統領にアクセスしたい下心見え見えの御仁から続々と申し込みが殺到したようだ。さっそく日本円で250万円の入札が入った。

 

 ところが、父親譲りで強気の彼女の反応は「最低500万円じゃなくっちゃダメよ」。彼女に言わせれば、「こうして集めたお金は自分の財団が管理するので、私的に使うわけじゃありません。世の役に立つ目的で使うので、どんどん高い値段で私の時間を買ってちょうだい」ということだった。

 

 結果的に、このネットオークションは大ブーイングを受け、途中で中止せざるを得なくなった。そんなやり過ぎ感が嫌気され、自らの名前をつけたファッション・ブランドの売り上げが伸び悩むことになったともいえる。

 

 さらに決定打となったのが、アメリカの市民団体の動きである。実は「トランプ・ブランド不買運動」が広がっているのが、イバンカ・ブランドが販売中止に追い込まれた最大の理由なのである。

 

 イバンカのブランド商品の不買運動を提唱したのは「あなたの財布をひったくれ」(GrabYourWallet)という名の市民団体。イバンカの商品を扱う全米の百貨店やネットショップを100店近く調べ上げ、「これらの店で買い物するのを止めよう」というキャンペーンを始めた。

 

 彼らの戦術は巧妙で、イバンカ・ブランドの不買運動のみならず、店全体をボイコットする運動を展開しているから、名指しされた店は死活問題だろう。

 

 その結果、今や、アメリカの百貨店は「投げ売りセール」でイバンカ商品におさらばしようと必死になっている。

 

 困ったのは、イバンカ・ブランドを日本国内で独占販売する交渉をしてきた日本のアパレルメーカー。安倍総理の無言の後押しもあり、契約直前にまでこぎつけていたが、思わぬ逆風に遭遇し、土壇場で立ち往生することになったのだ。

 

<著者プロフィル>浜田和幸
 前参議院議員。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒、米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。2011年以降、総務大臣政務官、外務大臣政務官兼東日本大震災復興対策推進会議メンバーとして、外交の最前線で活躍。近著に『この国の本当のかたち 数字で見る日本の実力』(廣済堂出版)ほか多数。

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