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尖閣諸島を売却の地主が受けていた「政府からの恫喝」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2013.05.17 07:00 最終更新日:2016.03.01 22:26

 国有化から8カ月。尖閣諸島沖の緊張状態が続くなかで、魚釣島や北小島、南小島の3島を国に20億5000万円で売却した栗原家は、その後どうしているのか。

 

 早くから栗原家に多額の借金があることを報じたジャーナリストの和仁廉夫氏は「石原前都知事の尖閣購入発言を聞き、長男の國起氏の自宅、経営していた菱屋会館の登記などを調べて、三菱東京UFJ銀行に極度額24億5000万円もの“借金”があることを突き止めた。だから、3島の国有化は、私は栗原家救済ではないのか?そう思いました」と指摘する。

 

 本誌が、栗原家長男・國起氏の自宅など不動産を調べると、4月になって、極度額24億5000万円の根抵当権が解除されていることがわかった。借入金の全額がその数字とは限らないが、売却した金で解除したことはほぼ間違いないだろう。栗原家のスポークスマンで、國起氏の弟にあたる弘行氏が事の真相を話してくれた。

 

「100億円以上あった借金を、兄は当時所有していたビルを100億円で売却して25億円まで借金を減らした。そして今、相続のことを考えると、借金をなくすこと自体がきわめて危険なんです。まだ兄は4000坪以上の土地を持っていますから。万一を考えると返済しちゃってどうするのかのほうが心配で、緊急に返す必要のない金だった」

 

 弘行氏はここで思いがけない事実を明らかにした。当時、野田首相の支持のもと、栗原家との交渉には長浜博行官房副長官があたっていたが、それは半ば恫喝だったというのだ。

 

「国への売却合意は昨年9月のこと。そのころ自民党が離島国境の法案を準備していて、長浜さんらが『自民党はとんでもない法案を出しますよ』と言うんです。それは、土地収用法の規定を使っての法案でした。自民党の法案は、有人となっていたものが、これからは無人島まで入ることになっていた。つまり、尖閣諸島も対象となり、強制収容の可能性も出てくる。一般的には素通りしてしまうと思いますが、それは栗原家にとっては大きな問題でした」

 

 というのも、栗原家には土地収用法に対して苦い記憶が今もあるという。それは25年にわたる裁判の歴史でもあった。

 

「1961年にさいたま市(現在)の『大栄橋』という大きな陸橋を建設する計画で、たもとの父の土地、建物が引っかかり、立ち退かないという理由で強制収容執行を受けた経験があります。25年後の1986年に補償金5500万円で勝訴したものの、その代償はあまりにも大きかった。土地収用法の怖さというものは経験者じゃないとわかりません。栗原家にはそれはタブーです。トラウマといってもいい」

 

(週刊FLASH 2013年5月28日号)

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