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六本木襲撃犯の実家会社に銃弾が…背景に関東連合の分裂
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2013.05.23 07:00 最終更新日:2016.03.01 22:26
5月4日深夜、新宿区内にあるマンションに銃弾が撃ち込まれた。翌日の5日早朝、現場近くの戸塚署に拳銃1丁と実弾13発を持って出頭したのは指定暴力団住吉会系暴力団幹部T容疑者(35)。関東連合の元大物メンバーだ。
「拳銃が撃ち込まれたのはある会社の事務所です。じつは昨年9月に起こった六本木襲撃事件で逮捕、起訴されたK容疑者(30)の父親が社長を務める会社なんです」と話すのは関東連合の元幹部。確かにK容疑者は、父親が経営する会社に役員として昨年8月まで名を連ねていた。要は実家が経営する会社に銃弾が撃ち込まれたのだ。
「K容疑者は関東連合のメンバーで、父親は息子が逮捕されたことを気に病んでいた。もともと自分の息子を巻き込んだ関東連合の関係者に、以前からかなり怒っていたようで、メンバーに対して恫喝するようなこともあった。だから関東連合にとって父親は頭の痛い存在だったのです。発砲事件は、その父親に対する嫌がらせの意味があったんじゃないかとみているんです」(前出・関東連合元幹部)
別の関東連合関係者は、T容疑者には発砲事件を起こす理由が、他にもあったと打ち明けた。
「Tは『思っていたよりヤクザの世界では出世できなかった。俺の人生も終わりだ』とかなり悲観していました。シノギがうまくなく、いろいろなところに金を借りていた。さらに、彼女に子供ができて、産む、産まないでもめていたんです。Tはヤクザをやめたがっていた。拳銃を警察に差し出して逮捕されるのは、ヤクザのけじめのつけ方として理解できるんですよ」
また関東連合と距離をおきたいという理由もあったという。六本木襲撃事件は18人が逮捕され(3人は保釈)、現在は裁判が始まるのを待つばかりだが、主犯格の見立真一容疑者(34)は現在も逃亡を続けている。
「Tは見立容疑者と決別したがっていた。もともと同じ関東連合でも見立は杉並区出身、Tは世田谷区出身と派閥が違ううえ、学年もTが一つ上なのに、見立がTを使うことが多かった。Tは六本木襲撃事件には関与していなかったのに、同じ関東連合ということで所属する組の上層部からは、お前も関わっているんじゃないかと言われていたんです」
そこで、見立容疑者に近しいK容疑者の関係先に銃弾を撃ち込むことで、自分には関係ないことを証明したかったのだと、前出の関東連合元幹部は語る。「撃ち込まれた銃弾には、もう見立容疑者の言いなりにはならないというメッセージが込められていた」というのだ。
六本木襲撃以降、バラバラになった感のある関東連合。そうした状況についてある暴力団関係者はこう話す。
「警察は3月に、関東連合などの半グレのやつらを準暴力団と規定して、組に所属していなくても暴力団並に規制をかけてきている。今は関東連合のメンバーだというだけで逮捕しようとするんだ。だから金のある関東連合のやつはメンバーを離れ、金のないやつは組に入ってくる。組はそういうやつを逆に利用しているだけだけどね」
関東連合というだけで裏社会で一目置かれたのは、過去の話になってしまったようだ。
(週刊FLASH 2013年6月4日号)