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過熱する「トランプ大統領」追い落としの主役はオバマ前大統領!?

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.02.15 12:00 最終更新日:2017.02.15 12:00

過熱する「トランプ大統領」追い落としの主役はオバマ前大統領!?

『安倍トランプ対談に同席したフリン氏(右端、首相官邸HPより)』

 

 トランプ大統領の周辺がきな臭くなってきた。今回の日米首脳会談は表向き握手と笑顔の連続で、「ゴルフを通じて親交が深まった」と安倍総理も得意満面だったが、「冬のホワイトハウス」とトランプ氏が勝手に命名したフロリダの別荘では、トランプ政権を揺るがしかねない状況が起こっていた。

 

 何かといえば、北朝鮮によるミサイル発射ではなく、トランプ政権の安全保障担当補佐官のフリン氏の更迭問題であった。実は、新政権に入る前、フリン氏は駐米ロシア大使と何度か電話で情報交換を行っており、「トランプ政権下では、ロシアに課している経済制裁を緩和する方向だ」と、踏み込んだ見方を伝えていたことが判明したのである。

 

 その事実をフリン氏は隠しており、ペンス副大統領にも「そのような話はしていない」と報告していたため、ホワイトハウスではフリン補佐官の擁護に回っていた。

 

 ところが、「ワシントンポスト」紙が内部情報を入手、電話記録からフリン氏のウソが明らかになったというわけだ。これは政権にとって大きな痛手になりかねない。その対応にトランプ大統領は神経を苛立たせていた。

 

 実際、安倍総理夫妻との夕食は気もそぞろだったようだ。その上、北朝鮮のミサイル発射や人事問題など機微に及ぶ対応策を一般のお客で賑わう別荘の食堂で協議するなど、情報管理がずさんなことも気がかりこの上ない。

 

 ところで、問題は「誰がフリン補佐官の秘密の電話の内容をリークしたか」である。その答えはトランプ大統領自身が図らずも口にしている。フォックス・ニュースの取材に「前政権の残党が多数、居座っており、何かと新政権の足を引っ張っている。困ったものだ。一刻も早くクビを斬らねばならない」と答えている。

 

 要は、オバマ政権下で8年に渡り、政権中枢で働いていた中堅幹部たちがトランプ政権に対して面従腹背の姿勢を見せているというわけだ。

 

 しかも、オバマ前大統領がトランプ新大統領の足を引っ張るべく、指揮を執っているらしいというから驚かざるを得ない。通常、政権が交代すれば、前の大統領はワシントンを去り、回想録を執筆したり、自らの記念館を管理するなど、政治の中心から距離を置くのが習わしである。ところが、オバマ氏は違う。ホワイトハウスから遠くない場所に高い壁で囲まれた住まいと事務所を構えている。

 

 ヒラリー・クリントン候補を支援してきた天才投資家ジョージ・ソロス氏と手を組み、全米3万2000人のアンチ・トランプ活動家の元締めとしてワシントンから号令を出している、と報じられているほどだ(「ニューヨーク・ポスト」紙、2月11日付)。

 

 安倍総理と広島や真珠湾を慰霊目的で訪問したことが記憶に新しいオバマ氏だが、最近相次いでアメリカのメディアに登場し、「トランプ大統領の言動に心を痛めている」とか、「このままではアメリカが分断国家になってしまう」と危機感を露わに。共和党内のアンチ・トランプ派とも一脈を通じる動きとして注目を集めている。

 

 その理由は明白だ。「オバマケアは大失敗だった」「8年間、テロ対策をやってこなかった優柔不断な大統領だった」と、トランプ氏からくそみそに言われて、「黙って引っ込んでいられるか」という怒りである。大統領としての実績を守るためでもあろう。怒りの収まらないオバマ前大統領は全米各地で「オバマケアを守れ」と訴える集会を呼びかけている。既に4000万ドルの募金を集め、400カ所でアンチ・トランプ・デモが計画中だ。

 

 ホワイトハウスでは人事をまぐるゴタゴタが続く。辞任を表明したフリン氏の次の標的と目されているのは、ホワイトハウスのプリーバス首席補佐官である。

 

 ことほど左様に、トランプ大統領を引きずり降ろそうとする動きは活発化する一方である。日本とすれば、安倍―トランプの蜜月ぶりに惑わされることなく、アメリカ内部にくすぶるアンチ・トランプ運動の行く末を冷静に見極める必要があるだろう。(国際政治経済学者・浜田和幸)

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