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南京大虐殺否定「アパホテル」代表は「自転車預かり」で稼いだ
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.02.15 17:00 最終更新日:2017.02.15 17:00
「日本の一部勢力が歴史を直視しようとしないことが明らかになった」
中国の外務省が、日本の一民間企業に目くじらを立てた。きっかけは、中国版ツイッターの「微博」。アパホテルに泊まった中国人観光客が、客室に置かれていた書籍が「南京大虐殺を否定している」と投稿したのだ。
「中国の大手旅行サイトでは、アパホテルを予約できないようになったほか、アパグループのHPはアクセスしづらい状況が続いた。何者かによるサイバー攻撃の可能性が濃厚です」(中国在住ジャーナリスト)
問題の書籍は、アパグループの元谷外志雄代表(73)が、「藤誠志」のペンネームで記したもの。書籍には「南京大虐殺」や「慰安婦の強制連行」を否定する記述があり、同社によると、全国155ホテル、3万2673室に置いてあるという。
「相当以前から、日本の誇りを取り戻すため、正しい歴史を知るべきであるという主張を続け、客室にも置いてきました。中国人のお客様もここ数年間で増えてきており、なぜ今ごろになってこのような騒ぎになっているのか理解できません」
元谷氏は、本誌にそうコメントを寄せた。アパといえば、「私が社長です。」の妻・芙美子氏(69)が有名だが、グループを築き上げたのは元谷氏の手腕。どのような人物なのか。
出身は石川県。小学生のころから、八百屋などでアルバイトをし、中学時代は公道に縄を張って、自転車預かり業で稼いだ。県立小松高校卒業後、地元の信用金庫に入社。すぐ労働組合のリーダーとなるなど統率力を発揮し、1971年、27歳で注文住宅販売会社「信金開発」を創業した。バブルの地価高騰時に土地を売り、その後の地価暴落のタイミングで購入するという「逆張り」で、事業を拡大してきた。
■言論弾圧には屈さず書籍は撤去しない
元谷氏が注目を集めたのは、2008年、当時現役の自衛隊航空幕僚長だった田母神俊雄氏の論文の仕掛け人となったことだった。田母神氏が語る。
「論文は『政府見解と異なる』と大問題になりましたが、元谷さんが徹底して支えてくれました。20年近いつき合いになりますが、『日本が今のままではいけない』という思いがすごく強い人。アパグループが株式公開しないのも、株主から信念を曲げるようなことを言われることが嫌だからでしょう」
かつて安倍首相も参加した「日本を語るワインの会」に出席経験のある評論家の惠隆之介氏は「淡々と語り、おべっかを使わない方です。とても勉強熱心ですし、学者タイプですね」と語る。
元谷氏は「今回の批判は、いわば言論弾圧であり、ここで屈することは悪しき前例を作ることになります」と、書籍を撤去しない考えを本誌に表明した。
この対応について、危機管理コンサルタントの田中辰巳氏はこう指摘する。
「抗議を受けて撤去するのは、非を認めたことになります。それくらいなら、最初から置かないほうがいい。中国人からのバッシング、客の減少などは織り込み済みの経営判断なのでしょう」
実際は、全宿泊客に占める中国人旅行客の割合は約5%。現状では中国人客のキャンセルは増えていないという。
「国によって歴史認識や歴史教育が異なることは認識していますし、それを批判するつもりはありません。一方、外国で暮らす日本人の子供たちが、捏造された歴史によっていじめを受けているという話もよく耳にしています。我々日本人自身が正しい歴史を知り、世界に向けて発信していく必要があると考えています」と元谷氏。
ブレない姿勢にエールを送りたい。
(週刊FLASH 2017年2月7日号)