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「維新の会」関係者のパン店が府庁に出店騒動…店主「入道さん」に真相を直撃

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.11.14 08:00 最終更新日:2021.11.14 08:00

「維新の会」関係者のパン店が府庁に出店騒動…店主「入道さん」に真相を直撃

「入道さん」こと高石康氏

 

《吉村知事、公務で来れないんだって。カレーパン差し入れいただいた。なう》

 

 高須クリニックの院長・高須克弥氏がSNSにこうツイートしたのは、11月9日のことだ。ツイートには、吉村洋文・大阪府知事の依頼を受けて、190センチ以上はあろうかという大柄な男性が高須院長にパンを手渡す写真が添えられている。だが、ちょうど同じタイミングで、男性が経営するパン店には、数多くの”疑惑の目”が向けられていたのだ。

 

 

「11月に入って、複数のアカウントが、このパン店の経営者が『日本維新の会』の議員や関係者であること、そしてパン店が大阪府庁の中で販売していることを指摘し、吉村知事や維新の会が便宜を図って販売の場所を与えているのではないか、という可能性を指摘するツイートをしたのです」(府政関係者)

 

 ツイートを受けて、批判は拡大した。パン店が吉村府知事以外にも、維新系の首長などに差し入れていたことや、維新所属の議員が店を訪問したり、店についてツイートしているスクショが拡散され、維新とパン店の”ただならぬ関係”に、大阪府庁や店には抗議が殺到。パン店は、当初はツイッター上でも反論をおこなっていたが、11月8日ごろ、アカウントは削除された。

 

「このパン店は大阪府枚方市にある『パン工房 ラビット』で、同店を経営しているのは議員ではなく、橋下徹のボディガード兼運転手を務めたといわれる最側近・高石康氏なんです。高石氏は党内では『入道さん』と呼ばれる、知らない人はいない大物です。

 

 ボディガードをしていた当時は、橋下氏の演説会場でメディアなどに高圧的に対応し、新聞でその名前が取り上げられたこともあります。ラビットの焼きカレーパンは、『カレーパングランプリ』の『西日本焼きカレーパン部門』で3年連続で最高金賞を受賞しているのですが、この受賞報告にも維新の議員が多数『いいね!』をしていました。

 

 この賞は、一般の投票によって決まるのですが、『ラビット』はSNSで広く投票を呼びかけていました。フォロワーの多くが維新関係者なのですから、異様な”組織票”といえると思います」(前出・府政関係者)

 

 高石氏の名前を検索すると、日の丸に「無敵」と書かれた布を腕に巻き、周囲を睥睨している姿がヒットする。高石氏に維新との関係や、大阪府庁への出店の経緯を聞くべく、本誌は11月10日、「ラビット」へと赴いた。

 

「自分は悪いことは何もしていないのに、勘違いが勘違いを生んで、精神的に参っています。SNSはつい見ちゃうし、見たら『この野郎』と反論したくなるので、いったんアカウントを消したんです。ネットの写真を見られましたか。あれはね、演説のときに知らない人に『無敵』と書かれた鉢巻を渡されて、無理に撮られたんですよ」

 

 枚方市内の、どの駅からも歩いて40分はかかる場所に「ラビット」はある。もともとは工場だったという建物は大きく、扉には「一般社団法人 エバーグリーン」とある。「ラビット」は就労継続支援B型事業所といわれる福祉施設で、知的障害、精神障害を持った人が約10人働いている。高石氏は「働いている方々は、音や知らない人に敏感なので」と、2階の個室に移動し、本誌に応対した。

 

「大阪府庁でパンを売っているといっても、府庁舎に入っている『こさえたん』という福祉コンビニで、ほかの業者さんと日替わりで、月に2、3回パンを置かせてもらっているだけなんです。『こさえたん』はお弁当やカップ麺のほか、僕らのような施設でつくったパンや、手作りのぬいぐるみなどを売っている店です。

 

 パンだけでも5~10業者が持ち回りで出品していますし、”維新のコネ”ではありませんよ。数年前、たまたま店の前を通りかかって、『ここはいいな』と思って申請したのですが、最初の年は審査に落ちてしまいましたし(笑)。一回に持っていくパンは80個から100個くらい、売り上げは1万2000~3000円くらいにしかなりません。枚方からのガソリン代などを考えたら、まったく儲かりませんが、働く方の工賃や、やりがいに繋がりますから」

 

 この施設を開いたのは最近で、高石氏はもともと、測量士だった。


「もともと、僕は25年くらい測量士をやっていました。3年ほど前に、兄貴が脳梗塞で半身不随になったのがきっかけで、自分で施設を作ったんです。兄貴は、『身内の世話にはならん』と、来ないですけど(笑)。ちょうどそのタイミングで、僕の後輩のお父さんがパン屋を廃業するということで、器材を一式もらったのが、『ラビット』の始まりです」

 

 高石氏は、自身が熱烈な維新支持者だと認める。

 

「僕は、もともと橋下徹の後援会員なんです。測量屋さんをやっていたころに、後輩が橋下の秘書になり、手伝ってほしいと頼まれたんです。この前の総選挙で辻本清美さんに勝った池下卓とかも、地元の後輩です。そんな風に、維新の議員には先輩後輩や友人が多くて、いろいろ手伝うようになったんです。

 

 当時は橋下にも殺害予告が出ているような状況で、ナイフを持ってくる人もいました。当時、僕は体重が130キロくらいありましたし、メディアもワーッと来ていましたから、『なんやコラ!』と言う役回りだったんですよ。選挙中にちょっと運転を手伝ったことはありますが、SPでもなんでもなく、維新から一度たりとも、交通費すらもらったことはありません」

 

 友人・知人である議員たちを、パンの”ステマ”(ステルスマーケティング)に利用しているのか。

 

「いや、ふつう友達だったら『こういうことを始めたから買うてよ』と言いますよね。『買っておいしかったら宣伝してや』と。吉村府知事も、市会議員のころから知っていますから、『食べて書いてや』と。あるとき、吉村知事が『ラビットのパンが欲しい』というので箱に入れて渡したら、それを高須さんに差し入れたことを後で知ったんです。それに、知事自身は『ラビット』という名前を出していないですからね」

 

『カレーパングランプリ』の最高金賞受賞は維新の組織票だった?

 

「それはないですね。パンを買ってくれた人向けに、『投票してください』というハガキは100枚くらい刷りました。その中に、維新の人が入っていた可能性はありますが、基本的にはネットショップで買ってくれた人に送っただけです。ツイッターでも投票を呼びかけましたが、人気投票的なコンテストですから。パンをおいしいと言ってくれる方は多いし、味に自信はあります」

 

「既得権打破」を旗印に、総選挙で躍進した日本維新の会。今後も、「これは維新の既得権では」と、ネット上を探し回る動きが続きそうだ。

 

 

( SmartFLASH )

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