「たんにいじめを受けたから、仕返しをしたというような簡単なことじゃないと思います」
そう話すのは、加害生徒を知るある住民だ。
11月24日、愛知県弥富市の中学校で、3年生の伊藤柚輝さん(14)が、同級生の男子生徒A(14)に刺殺された事件。翌25日、柚輝さんの遺体はひっそりと自宅に戻ってきた。
【関連記事:世田谷一家殺人事件 21年めの新展開!警視庁が異例の実名出しで所在を追う「焼き肉店のアルバイト店員」】
2人は保育園から一緒の間柄で、小学校では同じサッカー部に属していた。
「小学校は1学年20人。そのうち、18人が同じ中学校に進学しました。この地域は毎年そんな感じで、中学校の先生が事前に保護者から小学校での人間関係を聞き取り、クラス分けに反映させています」(前出・近隣住民)
Aは身長が170cmを超え、学年でもひときわ体格に恵まれていたが、近隣住民は「おとなしい子だった」と口を揃える。
「小学生のころはおじいさんのスマホで、ずっと『パズドラ』をやっていました。外で友達と遊んでいるのは見たことがありません」(同前)
誰もが顔見知りの小さな町に暮らす、おとなしい男の子。そんなAを犯行に駆り立てた動機はなんだったのか。
同級生の母親が声を潜める。
「LINEをめぐるトラブルがあったようです。男子生徒で作っていたグループLINEから、Aだけが退出させられたと聞きました。狭いコミュニティでのことだから、傷ついたんだと思います」
生徒同士の喧嘩はまず見ないという平和な地域で、ひそかに生じていた不協和音。事件はそのときから始まっていたのだろうか――。