社会・政治社会・政治

アブない「トー横キッズ」…暴力団も中国マフィアも消えた歌舞伎町で15グループ超、大人たちの食いものに

社会・政治 投稿日:2021.12.07 06:00FLASH編集部

アブない「トー横キッズ」…暴力団も中国マフィアも消えた歌舞伎町で15グループ超、大人たちの食いものに

キッズたちが頻繁に見かけられる「トー横」周辺

 

「亡くなった方にはお気の毒としか言いようがないが、いまの街の状況なら起こりうる事件だったと思いますよ……」

 

 うんざりした顔で話すのは、事業者で構成される歌舞伎町商店街振興組合元役員の商店主だ。

 

 11月28日に新宿警察署は、新宿・歌舞伎町の雑居ビルの屋上で男性の氏家彰さんを殴打の末に殺害したとして、関口寿喜容疑者(26)と少年2人を逮捕した。

 

 

 さらに12月5日には犯行後に逃走し、指名手配となった亀谷蒼容疑者(24)が逮捕されていたことも明らかになった。

 

 被害者の氏家さんは歌舞伎町に集まる若者たち “トー横キッズ” 更生支援活動をおこなっていたという。氏家さんが所属していた支援組織「歌舞伎町卍會」の総会長・ハウル氏はこう明かす。

 

「関口容疑者は卍會で “ノボルさん” と呼ばれていて、『喧嘩が強い』と自分で話していました。指名手配になった亀谷容疑者と一緒に歩いているところも見たことがありました。

 

 ただ、今回同時に逮捕された少年2人は暴力を振るうようなタイプではなかった。ノボルさんらと行動をともにしたことで事件に巻き込まれたのではないでしょうか」

 

 コロナ禍の直前から歌舞伎町では、大手シネコン脇の植え込みや広場周辺に、未成年を含む若者たちが自然発生的に集まるようになった。住む場所も定かでない彼ら、彼女らはだんだんと “トー横キッズ” と呼ばれるようになり、メディアでもその存在が報じられてきた。
 逮捕された少年2人も “トー横キッズ” だったとみられている。

 

 一方で、2021年に入ってから「未成年同士の飛び降り心中」「“トー横の王” を自称する少年による暴行」などの事件が起こり、今回の殺人事件という新たな悲劇も生まれてしまった。

 

 最近ではトー横内でのトラブルが続発するようになったというが、その一因として “コドモ” たちを悪の道に引きずりこむ “オトナ” の存在があるという。

 

 歌舞伎町で10年以上スカウトをおこなっているという蔵田陽介氏(仮名)がこう語る。

 

「夜中に道端にいるコドモ(未成年から20代前半の男女)たちに、ちょっかいをかけるオトナがいるのはこういう場所なら当たり前でしょう。
 オトナたちは合法的なものから違法のものまで、日銭になる仕事をもちかけるんです。コドモたちはそうやってカネを稼げるようになれば、自然と仲間内で対立するようになる。トラブルが起きるのは自明の理です。現在、トー横キッズは15、6グループに組織化しているのではないか」

 

 関口容疑者、亀谷容疑者については “オトナ” 側だったとみられている。オトナたちが持ちかける仕事とは売春や違法薬物の販売、ボッタクリ飲食店や違法風俗店へのキャッチ行為など、犯罪行為に関わるものも多い。

 

「コドモだって知らない土地にいることに不安がある。だから、何度か挨拶をしたりして顔馴染みになったオトナのほうにコドモたちから寄ってくるようになる。そこに危ない仕事を持ちかけるようです。

 

 オトナたちがコドモを狙っているのは、もし警察沙汰になったとしても使い捨てればいいから。どこから来たかもわからないコドモに路上で声をかけただけですから、オトナのほうに足がつきにくい。

 

 反対におカネがなければ、コドモたちは歌舞伎町にいられない。消えれば放っておけばいいし、近寄れば利用すればいいという使い勝手のよい存在なんですよ」(蔵田氏)

 

 かつて、歌舞伎町ではアフリカ系外国人や中国系グループなどの違法行為が目立っていた。

 

「いまはそれらのグループも鳴りを潜めている。また、逮捕された容疑者たちは『自分たちは暴力団構成員だ』と供述しているという話がありますが、それも懐疑的です。

 

 正直、暴力団もコドモを使って違法行為を働くなんて、そこから足がつけば、使用者責任で組幹部も引っ張られかねない。そんな “シノギ” は危なすぎてさすがに手を出しませんよ。

 

 にもかかわらず、オトナが『自分たちはヤクザだ』などと言い始めるんですから、暴力団も警戒しています」(歌舞伎町事情に詳しい人物)

 

 前出の蔵田氏はトー横キッズの知名度が上がるにつれて、さらなる勢力拡大を感じているという。

 

「同じような身寄りのない若年層が歌舞伎町にどんどん流れこむようになっている。半グレのような威圧的な見た目でもないし、パッと見では友達同士がつるんでいるようにしか見えないので、警察も介入を躊躇しています。

 

 コロナ禍で多くの飲食店が閉店しました。そこを居抜きで借りて、通常金額より2倍程度を客に要求する “プチボッタクリ” の店が多数出店しています。そこにもトー横キッズが動員されています。

 

 マッチングアプリで男性の勧誘をおこない店に連れて行く、警察沙汰になっても『女も客だから』という逃げ口上ができるという手法のようです。トー横キッズたちは悪い意味で歌舞伎町に浸透していっていると思いますよ」

 

 コドモの更生を促していた男性がオトナの暴行により殺害される。この負の連鎖はいつまで続いてしまうのか……。

 

( SmartFLASH )

続きを見る

社会・政治一覧をもっと見る

社会・政治 一覧を見る

今、あなたにおすすめの記事