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山中竹春横浜市長、横浜市立大学に「不当な圧力」疑惑…学長の「おもしろくない」衝撃発言を入手!
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.12.22 17:30 最終更新日:2021.12.22 17:30
12月15日、横浜市の山中竹春市長が、横浜市議会の政策・総務・財政委員会に出席した。議題は、2021年8月におこなわれた横浜市長選をめぐり、山中市長や市議会議員が、横浜市立大学当局に「不当な圧力」をかけたかどうか。ことの次第はこうだ。
2021年6月16日、当時、横浜市大教授だった山中氏の市長選への出馬が報じられたことを受けて、小山内いづ美理事長、相原道子学長の名義で、横浜市大全教職員に宛てて「御本人への連絡がつかない状況が続いています」「公立大学法人として教職員の選挙活動及び政治活動へ関与することはありません」と書かれた文書がメールされた。
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山中氏はこの文書に激怒。文面が当時の横浜市長だった林文子氏に配慮したものであり、事実に反するとし、立憲民主党に所属する横浜市議の花上喜代志氏、今野典人氏とともに、3回にわたり横浜市大に抗議をおこなったことが明らかになっている。
ウェブニュースサイト「SAKISIRU(サキシル)」などが公開している、7月24日に今野市議、山中氏の来訪を示した大学関係者によるメモによると、抗議の内容の抜粋は以下のようなものだ。
・学長名も必ず並べていただきたい
・上司である林市長を忖度し、対立候補の活動を妨害するものだ
・市民にSNSやインターネット上で理事長・学長の不誠実を知ってもらった方がよいとも考える
・コンプライアンス違反で訴え厳正に対処することも考えている
そして7月26日、横浜市大は小山内理事長、相原学長の名義で新たな文書を横浜市大全教職員にメールする。その内容は、6月に出された文書について謝罪し、《山中先生におかれましては、これまで素晴らしい研究成果や学内のご実績により、横浜市立大学のプレゼンスを高めてくださりました。今後も感謝の意を学内外へ伝えて参る所存です。》と称えるものだった。
横浜市大が山中氏に対する姿勢を大きく転換させる過程に、山中氏からの「不当な圧力」があったのか。冒頭の政策・総務・財政委員会で、山中氏は文書の訂正を迫ったことは認めたものの、「圧力という意識はいっさいございません」と否定した。
委員会には、参考人として小山内理事長、相原学長も出席。小山内理事長も「圧力はなかった」との認識を示した。また、7月26日の文書での《素晴らしい研究成果や学内のご実績》を《学内外へ伝えて参る所存》という表現について、相原学長は「大学に貢献されたという業績はたしかなもの。そこはちゃんと認めているという意味で書かれたものと理解しました」と回答した。
山中氏、小山内理事長、相原学長の“意見の一致”もあってか、翌12月16日には、「不当な圧力」があったかどうかの事実解明は、おこなわれないことになった。しかし本誌は、3人の委員会での証言が“偽証”であった可能性を示す、ある音声データを入手している。
「山中先生がほっぽりだしていったのを、〇〇先生がかぶっているんでしょ?」
山中氏の突然の出馬表明や退職によって「データサイエンス学部や研究科が、けっこう混乱してそう」。学内関係者に向けてそう語っているのは、「不当な圧力」疑惑の渦中にあった相原学長だ。
本誌は2021年8月、横浜市大教授だった山中市長のパワハラ的な言動で、部下の研究者や秘書など15人以上が辞めていたことを報じた。入手した音声データ内の相原学長の発言は、これを受けてのものだ。その中で相原学長は、7月26日の文書を出すことになった経緯について、こう語っている。
「(6月16日の文書について、山中氏が)ものすごい怒っている。(7月26日の文書について)なんでこんなの出すのと思った。『最初に出したのが2人の名前だから、取り消しのときも2人じゃないとおかしい』って。なんかほんとおもしろくないなって(思った)」
7月の文書は、山中氏の抗議によって出すことになり、小山内理事長と相原学長の連名になったというわけだ。相原学長は、山中氏について「なんであんなことでカリカリするのかな」とも語っており、文書を出すことが不本意であったことは明らかだ。だが、なぜ山中氏は学長の名前を出すことにこだわったのか。別の学内関係者が語る。
「小山内理事長は、横浜市の栄区長などを務めた、あくまで横浜市の職員です。7月の文書で《素晴らしい研究成果》を誇示させるためには、“研究畑”の人間のお墨つきが欲しかったのでしょう。そのため、山中氏は学長名を出すことを強く迫ったのだと思います」
相原学長は、横浜市立大学医学部卒で、2020年から同大の学長を務めている。学長補佐の要職にあった山中氏とともに、名実ともに大学の運営を担ってきた立場だが、7月の文書を出したことについては、8月の時点でも後悔しているようだ。
「(7月26日の文書を出すことは)本音で言うと、あんまりうまくない。この後どうなるかわからないから」
「なんかほんと、おもしろくない話だなと思ったけど。横浜“市立”大学ですから。独立行政法人とはいえね」
と、“市立”にアクセントを置き、横浜市長の最有力候補だった山中氏の意向を汲まざるを得なかったことを、皮肉っぽく語る相原学長。本誌が報じた山中氏のパワハラ疑惑については、「何をいまさら」という態度だ。
「(山中氏の)秘書がたくさん辞めていることなんて、医学部のなかではみんな知っていることですよね。あれ(パワハラ報道)、本当のことですよね、とか(教員から)よく聞かれるんですけど、私が『はい』なんて言えるわけじゃない」
とはいえ、本誌の報道を受け、「山中氏のパワハラ行為の有無についてハラスメント委員会やコンプライアンス委員会にかけ、大学として正式に声明を出すべき」という声もあったという。しかし、相原学長は動かなかった。
「そんなの下手なことをして、こっちがコンプライアンス委員会にかけられたらたまったもんじゃないわよね。内部情報が漏らされただのなんだのって」
自身がコンプライアンス委員会にかけられることに怯え、保身から出た発言ともとれるが、真意はわからない。本誌は、これらの相原学長の発言の経緯を横浜市大に問い合わせたが、期日までに回答はなかった。相原学長はこうも発言している。
「(山中竹春市長は)ちゃんとやって市大の名誉を高めてほしい。変なことやって、市大の評判を下げないでほしい」
山中氏からの「不当な圧力」について、市議会で事実解明がおこなわれることはなくなった。しかしこれで、横浜市大の「名誉」や「評判」は守られた、といえるのだろうか。
( SmartFLASH )