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「バッハはもう日本を見限った…」元JOC参事・春日良一氏も呑気すぎる“札幌五輪招致”に呆れた!

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.12.29 06:00 最終更新日:2021.12.29 06:00

「バッハはもう日本を見限った…」元JOC参事・春日良一氏も呑気すぎる“札幌五輪招致”に呆れた!

7月23日におこなわれた東京オリンピック開会式(写真・JMPA)

 

 新型コロナ禍のさなか、賛否両論がありながらも決行された「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会(東京オリンピック)」からはや3カ月ーー。

 

 東京オリンピックが開催されたことを、どう評価すべきなのか。ワイドショーなどのテレビやラジオ番組に連日出演し「オリンピック開催の意義」を訴え続け、現在もIOCメンバーとの深いパイプを持つ元JOC参事で五輪アナリストの春日良一氏(66)に内幕も交えて東京オリンピックを総括してもらった。

 

 

 1年延期したうえに無観客ではあったものの、ともかくも開催された東京オリンピック。その成否について、IOCはどう評価しているのだろうか。春日氏は語る。

 

「開催できたことについては『成功だった』と思っていますね。コロナ禍であれだけのビッグイベントを実現させて、感染拡大も抑えることができたのですから。

 

 2021年12月にリモートでおこなわれたIOCと国際競技連盟(IF)の重鎮が集まる『オリンピックサミット』で出された宣言でも、『東京オリンピックは史上最高の視聴者を獲得した大会となった』と賞賛しています。無観客ではあったけど、ストリーミングも含めて30億人以上が観た大会だったのです。

 

 ただちょっとシニカルに言えば、視聴者数くらいしか眼を見張るような成果はなかったということでもあります。(トーマス・)バッハ会長としてはいろいろ不満もあったと思いますよ」

 

 バッハ会長にとって、東京オリンピックは特別な位置づけにあった。バッハ会長が第9代「IOC会長」に選任されたのは、東京が五輪開催地に選ばれた2013年9月のブエノスアイレスにおける同じ総会でのことだった。

 

 そして、バッハ会長の肝煎りの綱領は、2014年12月に採択されたオリンピックの中長期改革計画「アジェンダ2020」。招致コストの削減や持続可能性、男女平等などを謳う40(=20+20)項目の提言だが、バッハ会長は2020年の東京オリンピックをそれを実現する場にしたいという目論見を抱いていたはずだと言う。

 

「しかし、不運にも東京オリンピックは新型コロナの前代未聞のパンデミックから始まったゴタゴタが続き、アジェンダの実現がおよそ望めない状況になりました。バッハ会長はある時点まで日本の力を信じようとしていましたが、どこかで『東京はそれどころではない』と見切りをつけたんじゃないかと思います。

 

 “論より証拠”として、IOCは2021年3月の総会で「アジェンダ2020」の総括をしてしまいました。『85%を達成できた』と。そしてさらに2025年までに達成する『アジェンダ2020+5』を採択したのです。コロナが提起した不確実性の問題への対処も含めて、2025年までに実現を目指す15項目の提言に切り替えました。事実上、2024年のパリオリンピックまで持ち越しということです。

 

 東京オリンピックについて、バッハ会長は当初多大な期待を寄せていました。『アジェンダ2020』で『男女平等』を明記しているなか、東京大会で男女の種目数がほぼ同数になることを当初アピールしていました。しかし、2021年2月、当時大会組織委員会会長だった森喜朗氏が女性蔑視発言で辞任する一件などもあって、惨憺たるありさまだった。

 

 そのころから、IOCの落としどころは『この際、開催さえできればOK 』ということになったんですよ。東京オリンピックは、最終的には『コロナという困難を超えて開催すること』に意義がある大会になりました」

 

 コロナの感染拡大防止策としてのワクチン接種について、日本政府の対応が遅々として進まなかったことにも、バッハ会長は痺れを切らしていたようだ。

 

「オリンピック開催が1年延期された時点までは、バッハ会長も日本を信じていたと思います。延期するということは、普通に考えれば、その間に感染対策を充実させるということだから。

 

 2020年11月にバッハ会長が来日したのは、延期後の開催についても雲行きが怪しくなってきていたからでした。そこで、当時の菅(義偉)首相は『オリンピックは完全な形で開催します』と約束しました。

 

 それなら『ロックダウン』に近い強力な対策を打つなり、ワクチン接種に向けてワクチン確保を急いで進めるなりして、しかるべき手立てを取るとバッハ会長は思っていたはず。しかし、実際には、日本政府の対応は全部後手に回っていた。“安心安全の大会”と銘打っておきながら、平気で感染を広める可能性の高い『GO TOキャンペーン』は続行する。具体的にはなにも動きませんでした。

 

 先のオリンピックサミットでも『選手たちにとって大会が開催されたことこそ、大いに意味があった』と述べていますが、東京大会の意味はまさにそこにしかなかったのかもしれません。バッハ会長の心はもう『パリ2024』に向いているように感じられます。パリでは男女の種目数が全く同数になりますし。

 

 日本では2030年の札幌オリンピック招致などと、呑気なことを言っていますが、今後、日本でのオリンピック開催については厳しいとバッハ会長は見ているのではないでしょうか」

 

 東京2020成功とはいっても「開催できた」という事実だけが燦然と輝いているということかーー。

 

( SmartFLASH )

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