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元JOC参事・春日良一氏が明かす日本のコロナ“奇跡の感染減”は東京五輪開催に暗躍したバッハの功績
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.12.30 06:00 最終更新日:2022.02.14 17:34
新型コロナ禍のさなか、賛否両論がありながらも決行された「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会(東京オリンピック)」からはや3カ月――。
現在もIOCメンバーとの深いパイプを持つ元JOC参事で五輪アナリストの春日良一氏(66)が、IOCのトーマス・バッハ会長の“知られざる功績”を語る。
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海外から大勢のアスリートを受け入れる東京オリンピックでは、何より新型コロナ感染のさらなる拡大が懸念されていた。
「じつは日本への新型コロナワクチンの輸入に関して、ファイザー社との間で段取りをつけたのは、バッハ会長です」と春日氏は語る。いったい、どういうことなのか。
「バッハ会長は日本が東京オリンピック開催を1年延期したにもかかわらず、その間にワクチンの手配などのコロナ対策を一向に進めないことにジリジリと不満を募らせていたわけです。
このままでは開催できないという危惧があった。バッハ会長は日本では“ぼったくり男爵”だとか“金の亡者”だとか言われているけれど、スポーツを通じて世界に連帯をもたらそうということを本気で考えている人であることは間違いありません。
国際社会はオリンピックは人類の使命みたいなもので、なんとしても開催しなければならないと考えているわけです。そのあたりには日本と温度差があります。日本には『たかがスポーツ』といったスポーツに対する蔑視みたいなものがある。しかし、オリンピックを主導するIOCの総責任者であるバッハ会長にとっては開催しないという選択肢はありえないものでした。だから、危機的事態を打開するために自ら動いたわけです」
春日氏はこの話を、旧知のIOC関係者から聞いたという。
「2021年3月のIOC総会でバッハ会長が突然『中国からワクチンを提供するオファーがある。IOCが購入してオリンピック、パラリンピックに参加する全選手に接種してもらう』と発言しました。
それまで何の情報も得ていなかった東京五輪大会組織委員会長も事務総長も仰天したのは記憶に新しいところです。本来なら北京より先に五輪を開催する日本から全世界の選手に提供するべきところ、遅々として進まないワクチンの対応に中国が五輪開催の“同胞”に塩を送ったわけです。しかし、ワクチンが不足していても、日本は中国製ワクチンは受け入れない方針だった。
そこで、バッハ会長はファイザー社に働きかけました。『人類のためのオリンピックを開催する国が困っている。助けなければいけない』という論法で、ワクチンの提供を迫ったわけです。『ワクチン確保は自分の手柄』と菅首相は思っているかもしれませんが、表には出ないところでIOCが力を発揮しているわけです。実際、ワクチンの供給量は途中で急に増えましたよね。そのすべてがバッハ会長のおかげというわけではないとは思いますが、東京オリンピック開催に繋がったのは間違いないでしょう」
いまやワクチン接種が進み、日本では世界でも有数の感染者数の少なさを見せている。もしかすると、バッハ会長の暗躍がこの状況を生んだのだろうか……。 そうであれば、IOCがそのことを発表しても良さそうだが。
「それをしないのがバッハ会長です。あくまでもスポーツは政治とは一線を画さなければなりませんから」
無観客開催で“経済効果”は大幅に減ってしまったが、思わぬ恩恵があったとも言える。そうだとすれば、「ぼったくり男爵」の称号は返上されるべきでは……。
( SmartFLASH )