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テレビ朝日前社長 “たった60万円で辞任” のナゼ…社員からは緩い社風暴露「私的飲食で領収書なら他にもいる」

社会・政治 投稿日:2022.02.15 06:00FLASH編集部

テレビ朝日前社長 “たった60万円で辞任” のナゼ…社員からは緩い社風暴露「私的飲食で領収書なら他にもいる」

社長も兼任となった早河会長。2019年、本誌は社内でのセクハラ事件について、早河会長(当時)を直撃した。

 

「アナザー亀山」

 

 2月10日に辞任した亀山慶二テレビ朝日社長・COO(63)は、業界内でそう呼ばれることがあったという。

 

 その理由は、フジテレビの名物プロデューサーで、社長も務めた亀山千広氏(65)と比べ、存在感が薄いから。“もう一人の亀山” というわけだ。

 

 世間的には “無名” なほうの亀山氏が辞任した前日、同社に所属する別の人物の名前が新聞各紙に躍った。

 

 

 8日に「IT導入補助金」900万円を国から不正受給した詐欺の疑いで逮捕された三田研人容疑者(49)だ。三田容疑者はテレビ朝日の部長職。「副業に熱心だった」と、風俗広告会社関係者が証言する。

 

「数年前、うちが運営していた出会い系アプリの売却先を探していたとき、別のテレビ朝日社員から三田さんを紹介されたんです。会ったのは麻布のラウンジで、取り巻きにかしずかれていましたよ。『自分は大企業の創業家一族で、サラリーマンは仮の姿なんだ』と言っていました」

 

 一方、テレビ朝日の発表によると、亀山氏の辞任の理由は、スポーツ局の局長との意思疎通の欠如と、私的な会食やゴルフなどの費用60万円や、私的な贈答品などの代金5万円を経費として請求したためだ。社員である三田容疑者と比べると、手口や金額の “セコさ” が際立っている。

 

「キー局の社長が経費の流用で辞任するなんて、聞いたことがありません。そもそも、うちはかなり緩い社風なんです。収録後の打ち上げを経費で処理したり、六本木で昼夜、私的な飲み食いをして領収書を切る人もいますから」(テレビ朝日社員)

 

 亀山氏は1982年に入社。スポーツ畑を歩み、2001年にアジアで初めて開催された世界水泳や、2002年のサッカー日韓W杯の中継で陣頭指揮を執った。W杯の日本‐チュニジア戦は、45.5%(関東地区)という、開局以来最高の視聴率(当時)を記録している。

 

 このときの編成担当役員が、亀山氏の辞任を受け、今回再び社長を兼任する早河洋会長・CEO(78)だった。

 

「早河氏は『ニュースステーション』を立ち上げたテレ朝の功労者でした。2003年に、久米宏さんの司会降板を発表した記者会見には、当時編成局長だった早河氏と、編成部長だった亀山氏が揃って出席しました。後継番組の司会に選ばれたのは、亀山氏が手がける『世界水泳』で司会を務めた古舘伊知郎さんでした」(広告代理店関係者)

 

 亀山氏の功績もあって、早河氏はテレビ朝日史上初めて生え抜きで社長に就任し、その早河氏が亀山氏を引き上げていった。前出の社員が語る。

 

「早河氏は2009年に社長に就任すると、社内で『天皇』と呼ばれるほどの権力を持つにいたりました。そして2014年に会長に就くと、角南源五氏や亀山氏などのイエスマンを社長に据え、“院政” を敷いてきました。角南氏はつつがなく役目を果たし、亀山氏も早河会長に忠誠を誓っていたのですが……」

 

 2019年に社長に就任して以降の亀山氏について、スポーツ局の社員が明かす。

 

「亀山さんは、社長になってもスポーツ局の管掌取締役のままでした。うちの番組のコメンテーターに水泳競技の元選手が多いのも、『世界水泳』への思い入れの強さゆえだという評判でした」

 

 そんなスポーツ局への “愛” ゆえか、亀山氏は、同局への干渉を強めていく。

 

「スポーツ局の社員は、大学の体育会出身者が多く、競技者の妨げにならない番組作りを志向する傾向があります。しかし亀山さんは、インパクトある演出ばかりを求めてきて、現場には不満が溜まっていました」(同前)

 

 そんななか、東京五輪の閉会式があった昨年8月8日の深夜、緊急事態宣言下でスポーツ局が宴会を開き、女性スタッフがカラオケ店の2階から転落する事故があった。

 

「この件で、スポーツ局の社員6人が謹慎処分を受けました。さらに昨年12月、同局幹部が部下とW不倫し、デート費用を会社に請求していた疑惑を『週刊文春』が報じました。これらの結果、会社は委員会を立ち上げ、関係者を事情聴取し、経理伝票を徹底的に洗い直したのです」(同前)

 

 そこで、亀山氏の経費の不正流用が浮上したという。だが、多くの関係者は、亀山氏の辞任が “仕組まれていた” 可能性を指摘する。

 

「もともと『亀山社長からパワハラを受けている』と、複数の社員がコンプライアンスの窓口に訴えていました。今回の辞任に『亀山を刺してやった』と吹聴する社員もいます。経費の不正流用は、あくまでも “口実” だと思っています」(別の社員)

 

 この社員は「亀山さんは辞任について『まったく納得できない』と周囲に漏らしているそうだ」と言う。なぜ急転直下で辞任が決まったのか。

 

「早河さんが、亀山さんに連続した不祥事の全責任を負わせて、腹を切らせたのです。自分に火の粉が降りかからないようにするため、そして新たな傀儡社長を据え、権力を維持するためでしょう。社内は『これでまた、“早河天皇” の独裁に戻る』と諦めムードです」(同前)

 

 本誌は早河氏、亀山氏の心境を問うべく自宅を直撃したが、それぞれの夫人から、本人は不在である旨の応答がインターホン越しにあった。

 

 亀山氏が社長に就任した2019年6月、自宅前には就任祝いだろうか、立派な胡蝶蘭が誇らしげに飾られていた。

 

 胡蝶蘭の花言葉は「純粋な愛」。だが、打算で結びついた上司と部下の絆は、朝日よりもはかないものだったーー。

 

( 週刊FLASH 2022年3月1日号 )

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