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“コロナの女王” 岡田晴恵氏が「3月中に必要」と語る4つの条件…大規模医療の施設、1日100万回のPCR検査も
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.03.06 06:00 最終更新日:2022.03.06 06:00
「第5波のときは、大規模集約医療施設の設置や、検査体制を整えられませんでした。『冬に備えて先手の対策を』と、専門家が強く新政権に説明すべきでした」
そう悔やむのは、白鴎大学教育学部の岡田晴恵教授だ。大規模集約医療施設とは、体育館のような大きな施設に酸素配管し、集約的に患者を治療できるようにしたものだ。
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「第6波が来る前の昨年11月、政府は約4万5000床をコロナ病床として確保しました。ただ、既存の病床を転用したことで、一般医療に支障が出てしまいました。中等症の患者さんは、大規模施設で治療し、重症化を防ぐべきでした」
今も検査や医療体制はひっ迫し、救急車での搬送もままならない。だが、かつては実現の一歩手前まで事が進んでいたという。
「第5波の最中、当時の田村憲久厚労相と頻繁に連絡を取り合い、田村大臣が大規模集約医療施設の設置に奔走する姿を間近で見てきたのです」
それなのになぜ、施設の設置に至らなかったのか。
「ワクチン接種の急速な拡大などが功を奏し、感染者数が激減したことはよかったのですが、そのときに “もう大丈夫だ” という雰囲気が生まれてしまいました。首相交代で田村大臣も退任し、うやむやになってしまいました」
その結果、第6波の感染拡大は、抑えられなかった。
「これまで日本では、4カ月程度の間隔で、感染者数が増える波が繰り返し来ており、次の波は3月にも来る可能性があります。私はそのときまでに、以下の4つの条件をクリアしていれば、希望が見えると思っています」
その条件とは、先に語った(1)大規模集約医療施設の設置のほかに、以下の3点だ。
「まずは(2)欧米並みの1日100万回のPCR検査の実現、そして(3)国による十分な抗原検査キットの備蓄です。第6波では、検査キット不足が顕在化しました。新たな波が来る前に、国家が備蓄しておくべきです。また、(4)治療薬の十分な確保と国産治療薬の実現も必要条件です。塩野義製薬の飲み薬の早期承認がなされることを期待しています」
そして、岡田教授が「3月中に」と、急ぐ理由がもうひとつある。
「役所は3月末が予算の執行期限であり、人事で担当者も入れ替わってしまいます。4月になり、これまで積み上げてきたものが仕切り直しになってしまうことを、私も役所(厚生労働省国立感染症研究所)にいたときに嫌というほど経験してきましたから」
次を “最終章” にするためにも、同じ轍を踏むわけにはいかない。
おかだはるえ
医学博士 専門は感染免疫学、ワクチン学。近著に『秘闘ー私の「コロナ戦争」全記録ー』(新潮社)。『モーニングショー』(テレビ朝日系)、『Nスタ』(TBS系)などに出演