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割れた「殺生石」がもたらした意外な“ご利益”…コスプレイヤーが“聖地”集結でバブル到来の兆し

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.03.11 20:15 最終更新日:2022.03.11 20:17

割れた「殺生石」がもたらした意外な“ご利益”…コスプレイヤーが“聖地”集結でバブル到来の兆し

割れる前、2021年9月の殺生石。この時点でひびが入っていた

 

 栃木県那須町にある「九尾の狐伝説」にまつわる史跡「殺生石」が真っ二つに割れていると、ネット上で話題になっている。発見した観光客によるSNSへの投稿が相次ぎ、3月5日午後に現地を訪れた那須町観光協会の職員が、実際に割れていることを確認した。石の周囲に巻かれていた縄も外れていた。

 

「ひび自体は2021年からありました。那須町は『自然に割れた可能性が高い』と発表しています。

 

 

 殺生石は溶岩で、かつて付近一帯で火山性の有毒ガスが噴出し、鳥や小動物が死んだことから『生き物を殺す石』として信じられてきました。松尾芭蕉が『おくのほそ道』で、この地を訪れたことを書いています。

 

 伝説では、鳥羽上皇が寵愛した玉藻前が九尾の狐の化身で、陰陽師の安倍泰成に見破られて東国へ脱走。大河ドラマ『鎌倉殿の13人』にも登場する上総介広常と三浦介義純が追い詰めて退治し、狐は石に姿を変えたとされています。この石が割れたので、『狐の封印が解かれた』とか『祟りでは』といった声がSNSで広がっています」(歴史雑誌記者)

 

 この伝説は小説などでしばしばモチーフとなり、九尾の狐は絶世の美女としてゲームのキャラクターにもなっている。

 

「九尾の狐のもっとも古い記録は、中国古代の地理書である『山海経』とされています。人を食う怪物ですが、神獣、瑞獣などともされており、一種の神様です。南北朝時代の漢詩『千字文』には、殷王朝末期(紀元前11世紀ごろ)の悪女である妲己が九尾の狐と書かれていて、妖怪扱いされています。妲己は有名な中国の伝奇小説『封神演義』でも妖怪として描かれ、それが日本にも伝わって歌舞伎や人形浄瑠璃の人気題材になりました。

 

 同作をもとにした『週刊少年ジャンプ』のマンガ『封神演義』は大ヒットし、アニメにもなり、妲己=九尾の狐は人気の悪女キャラになりました。そのほか、ゲームに登場し、妲己や玉藻前の正体という設定で大抵露出が多い女性キャラとして描かれるので、コスプレする人が多いんです。殺生石の周囲はコスプレ撮影のロケーションとしても有名です」(芸能ライター)

 

 コスプレイヤーの間では、殺生石のすぐそばにある旅館「石川荘」が人気を集めている。撮影部屋までしつらえられ、衣装やかつら、メイク道具、機材なども借りられる。

 

「石川荘は若女将自身も25年のコスプレ歴を誇るレイヤー(コスプレイヤーの略称)。毎年5月に、参加者が白装束をして那須温泉神社から殺生石まで松明を持って行列する御神火祭がおこなわれ、2022年は祭りに合わせて石川荘が『百鬼夜行』を主催するようです。

 

 ネット上でも『割れた殺生石…見に行くしかないでしょ!!』といった声が続出しているほか、早くも『九尾の狐に絡む和装レイヤーとして参加予定です!』などのイベント参加表明も見られます。殺生石が割れたことで注目を集め、むしろ“バブル”が到来し始めているのです」(芸能ライター)

 

 那須町は殺生石の修復のために重機を入れるのは困難として、現在は静観の構え。割れた石が観光ビジネスに貢献するとは、狐の“祟り”ではなく“ご利益”なのかもしれない。

 

( SmartFLASH )

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