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厚労省が突然の規制――合成大麻「HHC」に駆け込み行列2000人…業者が大儲けで高笑い! さらなる危険ドラッグ流通への懸念も

社会・政治 投稿日:2022.03.12 12:00FLASH編集部

厚労省が突然の規制――合成大麻「HHC」に駆け込み行列2000人…業者が大儲けで高笑い! さらなる危険ドラッグ流通への懸念も

17個ものHHCを購入した大学生。わざわざ電車で1時間ほどかけて買いに来たのだという。

 

 3月7日17時の西早稲田の某店に並ぶ面々。あまりの長蛇の列に、警官がパトロールに来る事態となった。

 

 発端は、あるオイル小売業者のSNSでの投稿だった。

 

「(中略)渋滞行列関係ねぇ
売りまくってやるぜ
HHCの送別会だ
17日までに
吸いまくって吸いきれよ(中略)」

 

 この投稿の裏には、3月7日の厚生労働省のある通達が関係しているという。全国紙社会部記者が語る。

 

 

「HHC(ヘキサハイドロカンビナール)とは、大麻に含まれる成分を加工した、いわゆる“合成大麻”です。同じく大麻由来成分『THC(テトラヒドロカンナビノール)』と似ていますが、こちらは日本では違法なのに対し、HHCはこれまで違法ではなかったのです。

 

 向精神作用などを持ち、大麻同様に高揚感をもたらすということで、2021年末から個人間で取引されるようになり、2022年に入って取り扱うオイル屋も増えて来たようです。

 

 ところが7日、厚生労働省がHHCを含む6物質を危険ドラッグとして指定する省令を公布、17日から施行すると発表しました。つまり、3月17日から、このHHCの製造や輸入、販売、所持、使用などが禁止されるということです(医療等の用途を除く)。

 

 現在、HHCは日本でも多く流通しています。しかし、現在の在庫を17日までに手放さなければいけませんから、業者は必死で売りさばいているわけです」

 

 この省令の公布を受けて、小売業者が「棚卸しセール」を告知した結果が、冒頭の長蛇の列だ。HHCを買い求めて並んだ人数は、2000人に及んだという。

 

 セール2日めの8日、17個ものオイルを購入したという都内在住の大学生は、こう語る。

 

「1つ5000円だったので、総額8万5000円ですね。

 

 これまでに吸ったのは1回だけ。そのときはネットで注文したのですが、1つ8000円くらいしましたから、今回は破格ですよ。今日来たのも、『吸えなくなるまで時間がないから』というのもありますが、それよりも、とにかく安くなっていると聞いたからです。

 

 もちろん、1人で17個吸いきるつもりなんてないですよ。友人のぶんもまとめて買いに来ただけです。ひとつ吸いきるのに、1カ月くらいかかりますからね……。

 

 それにしても、ここまでの反響だとは思いませんでした。開店前から並びましたけど、1時間近く並びましたよ」

 

 そう語った彼だが、以前使用した際には、HHCオイルの効果に衝撃を受けたという。

 

「酒飲んだり、サウナ行ったりするのともまた違うんですよ。すごく気分がよくなって、体の力がふわっと抜けていくんですよ。

 

 できれば規制されないで欲しいんですけどね……とはいえ、ほとんど大麻と効果は変わらないっていいますから、仕方ないですね」

 

 当初、3日間で売り切る予定だったこのオイルだが、同店では2日めで完売したという。大反響となった大麻オイルの「棚卸しセール」だが、HHCの販売もおこなっているラッパーで実業家のトモロー氏は、意外にもHHC特需の到来を喜んでいるという。

 

「いきなり規制が始まったものだから、今やHHCはプレミアム価格でしか買えませんよ。

 

 弊社の場合、希望販売価格は1万2600円で設定していました。ところが、規制が入るニュースが流れた7日から売値が跳ね上がっています。メルカリなどをみればわかるでしょうが、今はもうほぼ1万円代では入手不可能です。それより安いものはだいたい偽物か、粗悪品でしょうね。

 

 2021年末からHHCを使う人たちが増えて来ました。HHCのほうが、はるかに手っ取り早くキマれますからね。

 

 とはいえ、事業として数十億円は売り上げるつもりでしたけど、それは断念しないといけません。特需は嬉しい反面、規制自体はもちろん非常に残念です」

 

 トモロー氏がHHC販売を始めたのは今月に入ってからだったが、国からの規制はある程度想定内だったという。

 

「2021年末に日本で出回り始めましたが、まさかこんなに早く規制がかかるとは思いませんでした。最悪でも1年間は売れると思っていたんですけどね……

 

 HHCが出回り始めた当初は、個人通販サイトやSNSを通した個人間でのやり取りがほとんど。粗悪品や偽物が売られていることが多かったので、ちゃんと品質確認をして適正な価格で売れば、相当な需要が見込めるだろうというのは、売り始める前からわかっていたんです。

 

 とはいえ、規制が入るとは思っていましたよ。キマり方も香りも、本物のマリファナと変わりませんからね。これが合法だったというのが、むしろすごすぎですよ」

 

 一方で、医療大麻に詳しい正高佑志医師は、本当に危険なのは「この後」かもしれないと、警鐘を鳴らす。

 

「HHCが2021年末に商品として出回り始めたことを考えれば、厚生労働省の規制は予想外に早かったと思います。これは私見ですが、今回の規制の背景には、厚生労働省で大麻使用罪の創設が検討されていることや、SNSなどで急速にHHCの使用者が拡大したことがあるのではないでしょうか。

 

 しかし厚生労働省は、HHCの規制によって、結果的にリスクを高めたのではないかと思います。

 

 HHCが規制されたことで、また別の危険ドラッグが開発されるでしょう。HHCが日本で広まったのは最近のこと。脱法ハーブに関しての法規制は、使用者による事故や事件の多発を受けてのことでしたが、HHCに関連した事故や事件はまだ公表されていませんからね。

 

 しかし、今後流通するかもしれない商品の安全性は未知数ですから、今回の規制をきっかけに、むしろHHCよりも危険な商品が主流になってしまう可能性は十分あり得ます」

 

 “合成大麻”をめぐるいたちごっこに、終わりはなさそうだ。

 

( SmartFLASH )

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